下ネタが使えない管理社会において、下ネタで青春を叫ぶ

ライトノベル

公開日:2013/2/20

ガガガ文庫 下ネタという概念が存在しない退屈な世界

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 小学館
ジャンル:ライトノベル 購入元:電子文庫パブリ
著者名:赤城大空 価格:324円

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子どもに見せたくないテレビアニメランキングでお馴染み『クレヨンしんちゃん』の野原しんのすけは“ケツだけ星人”をしたり“ぞうさん踊り”をしたりとお下品なことが大好きで、そこが子どもにウケたりしているわけですが。思い返してみれば、私が子どもの頃も、おぼっちゃまくんの「ともだちんこ」や抜作先生の「いきなり尻見せ」なんかやるとヒーロー扱いでしたからね。え、そんなことない?

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まあ、とかく子どもは“下ネタ”が大好きですよね、という話です。なぜ子どもは、「おしり」「おちんちん」「うんこ」で笑えるのでしょうか。子どもの発達的には、大人が嫌がることを言うことで、自立を図っているのだという説もあったりするそうで。まあ、大人だって下ネタで笑ったりするわけで、下ネタ好きなのに子ども・大人はあまり関係ないのかもしれません。

で、前置きが長くなりましたが、本作は「下ネタが使えない管理社会において、下ネタを言いたくてたまらない若者の鬱憤と葛藤を描いた問題作」なわけでして。と書くと、カタイ社会派小説のようですが、表紙を見てください。ギャグコメディです。駅中でいきなり「お●んぽおおおおおおおおおおぉ!!」とか叫びます。「公序良俗健全育成法」の成立によって卑猥な言葉を発したとたんに善導課職員がやってきて即座に逮捕される作中の社会で、これは過激なテロ行為なわけですが。

憧れの女生徒会長に気に入られる存在になろうと、下ネタを言いたい欲求を抑える青春まっただ中の主人公(男子高校生)と、裏では過激女テロリスト(武器は下ネタ)の先輩との、下ネタ全開な会話が楽しい。ここにその単語を混ぜてくるか、そう切り返すか、と。そういえば、下ネタトークが得意な人って、コミュニケーション能力が高いような気がします。そもそも相手の反応を考えてトークできる人なんだから、当然か。

テロ先輩のペースに巻き込まれてもだえ苦しむ主人公の苦悩と青春を、下ネタ風味で堪能してください。
第6回小学館ライトノベル大賞受賞作品。


あの言葉を呟くだけで逮捕される管理社会で、痴漢の濡れ衣を着せられようとしている主人公。冒頭から大ピンチ!

女テロリストによる下ネタの咆哮により、難を逃れるも…

「エロ本」という単語を口にすると犯罪になるので、「不健全雑誌」と言い換える。本作では、ストレートな下ネタだけでなく、下ネタの言い換えもおもしろい