【マンガ大賞2013ノミネート】 7つの愛ある物語。親子で読める作品集!

公開日:2013/3/4

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / エンターブレイン
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:九井諒子 価格:463円

※最新の価格はストアでご確認ください。

『九井涼子作品集、竜のかわいい七つの子』はタイトルの通り7つの短編集で構成されています。その短編集の多くは竜が絡んだ物語となっており、それぞれの作品の時代によって竜のビジュアルが変わる作者のこだわりを感じることができる作品集です。

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7つの作品はすべてメッセージが込められていて、例えば家族愛をテーマにした作品だったり、人と人の絆を描いていたり、年齢、性別を問わずに読める作品集であると思います。

中でも一番心に残った作品は、5作品目に収録されている「金なし百祿」という作品です。この作品は、絵描きとして名を馳せた高川百祿が財産を騙し取られ、彼自身が描いた画に眼を書きいれて行くというお話。なぜ画に眼を描きいれて行くかというと、百祿の画はその巧みな筆運びによって、描いたものが画から飛び出してしまうため。百祿は今までに獅子や竜など存在しないものを描いてきたのでそれを売ってお金を稼ごうと考えたのです。

しかし、百祿の手元には百祿の贋作である馬に乗った人の画のみ。その画に眼を描き入れて百祿と画の人と馬の旅は始まったのです。一緒に旅をして行く中で元々画だった人は百祿の事を慕い、いつかは人間になり百祿の力になりたいと願うようになって行きました。ここからこの作品のクライマックスへと向かって行くのですが、何とも切なく、愛に溢れている最後となっています。ぜひこの最後はみなさんの目で確認して頂きたいと思います。心に染みるとても素敵な作品です。

先述しましたが、その他の作品も心が温かくなる作品ばかりでお子さんがいる方は子どもと一緒に読んでも楽しめる作品です。マンガを通して人の温かさに触れられる、そんな素敵な作品集です。


第1話目に登場する竜はこのようなビジュアル

竜が絡まないお話も収録されている。これは第3話目の神様のお話

家族愛が伝わってくる作品も収録されている
(C)九井諒子/エンターブレイン