【映画公開中】 懐かしい大学時代にタイムスリップ! この春に読んでおきたい1冊

小説・エッセイ

2013/3/13

横道世之介

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 文藝春秋
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:吉田修一 価格:771円

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『悪人』や『パレード』の著者吉田修一の小説『横道世之介』。高良健吾主演、ヒロインは吉高由里子で映画化された作品。

舞台は1980年代。タイトルと同じ名前の主人公、横道世之介(18歳)は大学進学のため、上京してきたところから物語が始まる。長崎から東京へ出てきて、まずは新宿駅東口の駅前広場に降り立ち、新宿アルタ前を通り、西武新宿駅からまた電車に乗る…。“東京”に住むつもりで決めたアパートを目指すが、イメージしていた“東京”はだんだん離れていき…。

上京、入学式、サークルの勧誘、バイト、恋愛など、世之介や友人らの生活ぶりは、私も同じ、地方から東京へ出てきた組だからか、かなり共感した。登場する場所や建物も、実在していて、実際に彼らがいたんじゃないかと思うくらいリアルに描かれている。

時代はバブル期なので、チップで一万円をくれる人がいたり、クルーザーが出てきたりして、「そんな時代もあったんだよな~」と感心する部分や同時に、「あぁ~、私もこんな大学生活だったな~」と、自分の過去も鮮明に蘇って、懐かしく、そして、ざわざわ。

それにしても、“サンバサークル”が出てきたときはまさかとは思ったが、いやいやいいながらも、結局入ってしまう世之介。ダメそうなのに、でも本当はダメじゃない感じもして、ちゃっかりしているけれど、優しくて、憎めない人。読み進めていくうちに、サンバに向き合う世之介の姿から、なぜか“サンバ”の良さまで伝わってきたり(笑)。

世之介が出会った友人や憧れの人、恋人の生活もそれぞれ描かれている。そして15年、20年後、彼らが世之介のことを思い出す場面がところどころに出てくる。未来から過去に繋がる感じで、先が気になって、どんどん読み続けてしまうほど、個人的にはそこがすごく印象的だった。人生はいろいろだなと。

クスッと笑えたり、温かく幸せな気持ちになれたり。でも、衝撃的な部分もあって、哀しいところもあるけれど、それがただ哀しいだけじゃなくて、じんわり。

ちょうど4月からの話なので、今まさに、読むのにピッタリの1冊。この春、進学する人にとっては、大学生活1年目の参考になる部分もあるかも? 私のオススメは、気軽に持ち運べるスマホやタブレットなどの電子書籍で、世之介の行動範囲内や電車の中で、読みなおすのもまた格別だと思う。まずは、JR新宿駅から西武新宿駅、花小金井駅間、日本武道館あたりで読みたい。


新宿駅東口の駅前広場に降り立つ横道世之介

街に芸能人がいても騒ぐ人がいないという“東京あるある”

東京を思い知らされて、悔しい気持ちに引きずられながら西武新宿駅へ向かう

憧れ(?)の東京生活がここからスタートする

一万円のチップに戸惑う世之介

海水浴と言って、クルーザーに連れていかれる

サンバサークルに入ったことを従兄に報告

ざわざわするシーンのはじまり