ラノベのなにかではなく、洋画のなにかを感じる1冊
公開日:2013/3/15
再生のパラダイムシフト リ・ユニオン
ハード : PC/iPhone/iPad/Android | 発売元 : KADOKAWA / 富士見書房 |
ジャンル:ライトノベル | 購入元:BOOK☆WALKER |
著者名:武葉コウ | 価格:450円 |
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最近、公募の受賞作品を立て続けに読んでいるのですが、これまた富士見書房のファンタジア大賞作品ですよ。そしてご多分に漏れず、やはり読み物としておもしろいだけでなく、少々とがった作品でもありました。
個人的には、著者の学歴や経歴を作品と絡めて語るのは好きじゃないのですが、本作の武葉コウ経歴は知って読むのと知らずに読むのとでは違うと思います。詳細は著者紹介で読んでいただければいいのですが、いわゆる帰国子女というやつです。それも、一カ国ではなくあっち行ったりこっち来たりです。
で。この作品なのですが、その影響を受けてかあまりライトノベルを読んでいる感じはしません。ヒロインと幼なじみという究極の図式を用意しておきながら、その辺の葛藤はほとんどなく、気づけば解決しているという具合です。一方で、主人公の橙矢くんの生活する世界設定は「潜水都市」という言葉ひとつとってもわかるように、ぶっ飛んでます。ざっくり説明するだけでもページが足りないのでしょう。巻頭にイラストともに世界解説が付いているのですよ。誤解を恐れずに書いてしまうと、未来の都市国家で、それ自体が移動して、潜水して、魔物がいる塔に海中で接続したりする。そんな世界です。
そこである日、記憶喪失の少女と出会う。となると、ラブコメ的なラインは王道です。変に狙った感はありません。ただ、翻訳本を読んでいるような文体や台詞回し、そしてハリウッド映画的ななにかを感じる展開が魅力となっています。
意図的に書かれたのかどうかはわかりません。でも、あり得ない日常をさもみてきたように書くのがファンタジーならば、現代日本のあれこれを引きずっていない本作は、間違いなく純血のファンタジー小説だろうなと思いましたよ。
CG? と思うような扉絵もまた洋画っぽい
用語解説付きラノベって、あんまりお目にかからないです
物理学的な裏付けがないのでファンタジーと読みましたが、言葉はSFっぽいですね
挿絵もまた、アニメ調ではなくて舶来のなにか、です