優美な線と華麗な構図で描かれるヘンタイ的世界

2013/4/5

キンランドンス

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 青林堂
ジャンル: 購入元:eBookJapan
著者名:丸尾末広 価格:648円

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近ごろコミックを読んでいで嫌になって途中で投げ出すのは、絵が下手なせいだ。ちょいとした話題になった『進撃の巨人』なんてのも、絵なんて描いてあればいいとでも思ったのか、すっかり閉口し1巻目のなかばで断念した。さぞかし凄いことが書いてあったのだろうが。

コミックにおける絵とネーム(セリフ)の関係は、スイーツでいうなら形と味のそれじゃないだろうか、と私は愚考する。まずいってのはそもそも食物としての存在が懸念されるわけだが、やはり麻生大臣そっくりのモンブランは食欲をそぐといっていいだろう。

丸尾末広は絵がうまい。眺めているだけでもほれぼれする。優美な線と、華麗なコマの構成が耽美の世界を作り出している。素晴らしい。

ただ、その耽美の性質が、なんというか人を選ぶのだ。なんというか、耽美がページを彩るとこを通りこして、むき出しになっている。ストレートにいうならヘンタイなのである。

特にこの14編の作品がしまい込まれた『キンランドンス』はヘンタイ度が高い。スカトロジー、SM、強姦、近親相姦、なんでこんなに絵のうまい人が、こんな下世話な作品を書くのか。ほんのり絶望的になるがそれは違う。

そうした美しいフォルムと線で描かれたヘンタイの曼荼羅との落差が、激しく私たちの心を揺さぶるのだから。

丸尾末広の作品に登場する少女は、父や母もおらぬげで薄幸の身の上である。それがたとえばもらわれていった家庭の主人や奥様にいじめられて、もっと不幸せな目にあい、身も心も蹂躙の限りをつくされる寸法になっている。

だから小説で言うならマルキ・ド・サドの感じだ。善良なものほど不幸せになる。

そんな風景はある種の欲望を抱えた人をやに下がらせる。ところが不思議なことに、少女の不幸続きのどん底の姿は、なぜか私たちを笑わせる力がある。それはあり得ない境遇と、あり得ないオジサンたちの過酷な仕打ちが、カリカチュアにまで高められているせいだ。

少しばかりおヒネになっている方なら、もちろん女性にも入っていけるマンガ。

そういえば箱入り娘がほんとうに箱入りになって大物政治家のところへ売られてくる「カクエイ先生怒りのキン玉」という短編も入っている。

取りあえず読んでみて、自分のエグイ度を測ってみたらいかがだろう。


箱入り娘が運ばれてくる

ひたすら自分の放屁を愛する男の話「放屁論」

薄幸の少女は蹂躙される
(C)丸尾末広/青林堂