何故か笑えるハードボイルド、夜の銀座を駆け抜けろ!

小説・エッセイ

更新日:2012/3/7

フェイク

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : KADOKAWA
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:楡周平 価格:712円

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楡周平の意欲作、タイトルは「フェイク」。
コンゲーム的な要素が主軸だが、銀座高級クラブ・ノミ屋・競輪・企業恐喝といったある種のアンダーグラウンド要素が満載。その手の世界に興味がある人はもちろん、そうでもない人でもかなり手を出しやすい小説である。

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主人公は”冴えない”、ないしは、”うだつの上がらない”という形容詞がしっくり来る、20代前半の青年。三流大学の経済学部をなんとなく卒業したものの、まともな就職先はもちろんなく、やっとのことで見つけた仕事は銀座の高級クラブのボーイ。月給は手取り15万、大学時代から付き合っている彼女らしき女性は居るものの、肉体的な交渉はなし。未だ素人童貞であり、物語の冒頭から性病の診察を受ける、というある種トホホな展開がかなり興味をそそる。

主人公は”冴えない”、ないしは、”うだつの上がらない”という形容詞がしっくり来る、20代前半の青年。三流大学の経済学部をなんとなく卒業したものの、まともな就職先はもちろんなく、やっとのことで見つけた仕事は銀座の高級クラブのボーイ。月給は手取り15万、大学時代から付き合っている彼女らしき女性はいるものの、肉体的な交渉はなし。未だ素人童貞であり、物語の冒頭から性病の診察を受ける、というある種トホホな展開がかなり興味をそそる。

そんな情けない男が、「夜の銀座」という、煌びやかながらも弱肉強食な世界に翻弄されまくる様子を描いた物語。銀座という街の仕組みや暗黙のルール、そこで実際にありそうな犯罪が随所にちりばめられた、かなりリアルな作品である。

この主人公に大いなるシンパシーを感じてしまうのが不思議。なんのことはない小金への欲に対して自制が効かず、犯罪にまで手を染める。好きな女にはいいように使われ、性欲は全て風俗で処理する。「情けねぇ・・・」と思いながらも、その実自分と大差無いんじゃないか? と思ってしまう。で、結局は多大なる感情移入をしてしまい、終盤ではすっかり応援モードに入ってしまえるところが凄い。

そして、一見ハードボイルドの体をなしていながら、どことなく漂うコミカルさ。リアリティを追求しながら、結果的にそれがニヤリとした笑いに転化されていく、というテクニックは、これまでにありそうで無かった手法のような気が。銀座という舞台の特殊性と併せ、娯楽作品としてのレベルはかなり高い。
構えずに読むには最適です!

最近多くなったドットブック形式を採用、文字サイズ大はさすがの読みやすさ

文字サイズ小で文庫本に近い表示

この作品では何故かしっくり来るiPhone横表示+縦組み、ワイドで読むと緊張感が増す!

ドットブックお得意のテキスト検索、対象文字がちゃんとハイライトする

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