上川隆也映画初主演作は“ミステリー三冠”獲得の超B級推理小説

小説・エッセイ

2013/4/1

二流小説家

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 早川書房
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:デイヴィッド・ゴードン 価格:972円

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宝島社「このミステリーがすごい!」2012年版・海外編、週刊文春「ミステリーベスト10」、早川書房「ミステリが読みたい!」2012年版・海外編にて、それぞれで第1位を獲得し、史上初の“ミステリー三冠”を達成した海外小説がこの『二流小説家』。著者はデイヴィッド・ゴードンという初めて耳にする作家。今年中に映画化される、という噂を聞きかじり、ちょっと苦手な海外翻訳モノに手を出してみた。

主人公はリアルに“二流”な小説家。本名を名乗ることすらできず、エロ本のコラムに始まり、妙に艶めかしくも読み捨て必至なSF小説やバンパイヤ小説などを書き散らし、それだけでは食えずに家庭教師をしながら教え子の読書感想文を代筆して日銭を稼ぐ。当然のように恋人には逃げられ、うだつなど上がった試しがない。

そんな二流小説家に舞い込んだ千載一遇のチャンスが、死刑執行が目前に迫った連続猟奇殺人事件の犯人から届いた手紙。依頼内容は告白本執筆依頼。かかわる周囲の人間を全て巻き込み、新たな猟奇殺人が起こる、という内容。

これが適当な言葉かどうか解らないが、典型的な“バカ・ミステリー”。もちろん褒め言葉。会話は全てジョーク混じり、その割にはシリアスで必要以上に重苦しい事件が矢継ぎ早に起こる。そこに突然主人公の執筆したバンパイヤ小説やSF小説がインサートされる。どの場面からもB級の匂いがプンプン漂い、その手の愛好家にはたまらない展開がジェットコースターのように続く。おそらくこの目まぐるしい展開がある種の叙述トリックに化けている気がするのだけど、そこが気持ち良いくらいストレートで騙された感覚がない。三冠も至極納得。ちゃんとB級テイストで描ききった翻訳もスパッとハマる感。

正直、内容がとっ散らかる部分もあり、構成的に? マークを付けざるをえない点も多々見られるのだが、さすがに巷の話題となるべき要素がちゃんとそこに盛り込まれている。かなりな長編で読むのが少し大変だが、きっと退屈せずに読了できることと思う。

これがどのように映画化されるのかちょっと調べてみたところ、なんと日本映画、しかもこれが初の主演作品となる上川隆也をキャスティング。原作のシニカルなジョークを演技派の上川がどう演じるのか、要注目。ちなみに6月公開。それまでに原作読破をオススメしておきます。


ペーパーバッグのような表紙デザイン、原題は「The Serialist」

ジェットコースターのような展開についていくため、登場人物紹介は熟読しておくべし

相変わらず機能豊富で見た目も美しいKinoppyのメニュー画面、右下の数字はページ表示

劇中劇のように挿入される主人公の著作は文字色違いで表示、わりと続きの気になる内容

雰囲気を出すため画面を反転表示・フォントをゴシック系に変更したもの、カスタマイズは自由自在