マコト(猫)はどこへ行ったのか? 一足先に、男女3人の青春夏休み体験を小説で!

小説・エッセイ

2013/4/16

そよかぜキャットナップ

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:靖子靖史 価格:1,242円

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T県出身で幼なじみの大学生、長谷川広忠・小野啓太と、大学から知り合った同郷、玉井香織の、ひと夏の出来事。夏休みに帰省し自動車学校に通う3人。そんな中、小野家の飼い猫マコトが失踪。マコトを探すうち、謎の老夫婦に会い、奇妙な噂を耳にする―。青春小説? ミステリー? 読み進める間ファンタジーやホラーにも思え、どこに転がるか分からないワクワク感を楽しめました。

この小説の特徴は、冒頭などの一部を除いて、語り手が変わるときに名前を示していること。イラストまで付けて誰の心中なのかを明確にしていて親切です。基本的に広忠と啓太が代わる代わる語っていて、頭脳派の広忠と軽いノリの啓太が対照的で飽きることなく読み進められます。 お互いの気持ちが分かるので、幼なじみ独特の信頼関係や気安さも垣間見れて微笑ましい気持ちになったりも。一方香織は心中が語られることはないですが、元気で無邪気なキャラクターで2人を引っ張っていきます。 全体的にテンポが良くてひとりひとりのキャラクターも濃く、独特のユーモアが散りばめられていて度々ニヤリとさせられました。

また“田舎の夏休み”というシチュエーションも心踊ります。大きなスイカ、早朝からの虫取り、夏祭りに花火…など、ノスタルジックな気分にさせてくれる描写も多いです。他にもおしゃべり好きなおばあちゃんの存在は、田舎を感じさせてくれますし、そんなおばあちゃんの孫娘の家庭教師をするようなほのぼのシーンも。マコトが失踪したことにより、猫の飼い方を問われる悲しい現実もあったりしますが、全体的にノリの良い文体の中にも、登場人物の心根の優しさが滲み出ている物語。

最後までそんな優しさを感じさせてくれて、しみじみと心地よい読後感。 一足先に夏を味わえる1冊です。


文中でも度々強調されるメガネシルエットで分かりやすい弘忠

そして啓太。香織への恋心も気になるところ

うたた寝(キャットナップ)しそうな平和な時間に友人の幸せを願う

いつも冷静な弘忠なのに、どうしちゃったんだ!? かなり好きなシーン

ラップ的な韻をふんじゃう動揺が啓太らしい。それほどまでに動揺していたのだ