2006年11月号 『独白するユニバーサル横メルカトル 平山夢明短編集』
更新日:2013/9/26
独白するユニバーサル横メルカトル
ハード : | 発売元 : 光文社 |
ジャンル:小説・エッセイ | 購入元:Amazon.co.jp |
著者名:平山 夢明 | 価格:1,728円 |
※最新の価格はストアでご確認ください。 |
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2006年10月5日
『独白するユニバーサル横メルカトル 平山夢明短編集』 advertisement 平山夢明 光文社 1680円 |
ユニバーサル横メルカトル図法で描かれた、延べ197 枚の地形図は、自分の持ち主であった、ある父子の物語を語りはじめる。タクシー運転手である先代の愛用品として使われていた地図は、地図としての使命を果たすべく、日夜奮闘していた。先代がたびたび殺人を犯すようになってもそれは変わらず、むしろ二人の絆を強くしていった。しかし、先代は急死してしまい、彼の息子が殺人癖とともに地図を引き継ぐが……。 日本推理作家協会賞短編部門を受賞した表題作「独白するユニバーサル横メルカトル」を含む、血と肉に彩られた8つの短編を収めた短編集。 |
撮影/首藤幹夫
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ひらやま・ゆめあき●1961年、神奈川県生まれ。著書に『「超」怖い話』シリーズ、『メルキオールの惨劇』、『東京伝説—彷徨う街の怖い話』、『いま、殺りにゆきます』など。短編「独白するユニバーサル横メルカトル」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。 |
横里 隆 (本誌編集長。今号で遂に『テレプシコーラ』第1部が完結! 最終回をぜひ堪能してください。山岸凉子×首藤康之対談もお楽しみあれ) 圧倒的不快感にシンクロし 哀しみと悦楽を同時に体感
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稲子美砂 (本誌副編集長。主にミステリー、エンターテインメント系を担当) 小説だけが成し得る陶酔感
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岸本亜紀 (約1 年の育児休暇から戻りました。子供と過ごす時間は貴重だけど、やっぱり仕事は面白いわ〜。) 残虐で危険な書ではあるけれど、 本書の世界観は通常の倫理観からかけ離れている。人肉や脳を平気で喰らうし、子供は弱者に暴力をふるう。本書のどこを開いても血や粘液がべたべたと張り付いてくる。しかし、そこで本書を読むのをやめるなかれ。安っぽい暴力肯定のホラー小説ではないし、エログロでもない。短編ではあるが、長編に匹敵する膨大な知識と情報が物語の背景にあり、文章は研ぎ澄まされた職人芸。一見狂って見える登場人物たちの行動は、だれもが心の奥深くに持っているであろう狂気そのものだ。私は物語を読んでいて、どの登場人物にも見え隠れする、人間として生き続けることの精一杯さ、寂しさを感じずにはいられなかった。人は誰しも、突然あっち側の世界に行ってしまいそうになることがある。夕日が沈む直前、踏切を越えるとき、高層マンションのベランダで。その甘い声はいつでもわれわれを誘惑する。いつでも突然に、死と暴力が現れてくる。そっちにいってもいかなくても、それが人間なのだと、作者は優しく肯定してくれるのだ。 |
関口靖彦 (本書を映画にたとえるなら、ホラー映画ではなくアレハンドロ・ホドロフスキー作品を挙げたいです) 真実というものがあるなら、
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波多野公美 (ダ・ヴィンチを作りつつ、年内に発行の単行本を4冊制作中。そんな日々も、息抜きは読書です〜) 受け入れ難いのに、見事すぎる
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飯田久美子 (この本を読んでいて、嫌な夢をいっぱい見てうなされました。さらに2回高熱が出ました。) プラチナと称するのさえ
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服部美穂 (今月から精神科医・名越康文さんの新連載『誰にもなれないあなたたちへ』がスタート! ぜひご覧下さい!!) 人の心に棲む怪物を描いた著者
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似田貝大介 (京極夏彦〈百鬼夜行シリーズ〉最新刊『邪魅の雫』が刊行!「ミステリーダ・ヴィンチ」で特集しています) とにかく濃厚、そして突出 純粋な力に打ちのめされる
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宮坂琢磨 (『幽』怪談文学賞・長編部門の最終候補作品5編が決まりました! 詳しくはWEBダ・ヴィンチで発表中) 突き詰めた暴力描写から生じる
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イラスト/古屋あきさ |
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