『桐島、部活やめるってよ』の著者による涙必須のド青春物語!

小説・エッセイ

公開日:2013/4/23

チア男子!!

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 集英社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:朝井リョウ 価格:648円

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前もってお断りしておきますが、私は中高大と体育会でした! なので、こういう小説には目をつぶって5を連発してしまいます。タイトルの奇抜さから購入した1冊。この勢いのあるタイトルは、前作『桐島、部活やめるってよ』に共通した爽快感というか、さらっと風が吹くような若者の息吹を感じさせてくれます。

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さて、物語は大学まで柔道に打ち込んでいた晴希の苦悶から始まります。実家は柔道一家で姉の晴子と幼少から柔道一筋にきた彼。それが肩のけがをきっかけに、これまでの自分とは違うなにかが芽生えてくる。時を同じくして、親友の柔道仲間一馬も一身上の都合により柔道を辞める決心を。設定だけなぞると、その2人が「チア」をやるという流れは「ウケ狙いでしょう」と軽卒に評価しがちかもしれません。でも、そうじゃないんです。筆者は丁寧に丹念に彼らがなぜ、「チア」なのか、この物語がなぜ「男子チア」という特殊な世界を舞台に描かなければならなかったのかを、人物を通じて納得させてくれるのです。

一馬の決意と晴希の高級料亭の息子溝口。太って「トン」と呼ばれている浩司、野球部でライバルだったイチローと弦、6人ではじめたチアが、7人になり、そして更にメンバーを増やして全国大会へ挑んでゆく。チアについては全くの無知でしたが、まるで彼らと一緒にトレーニングをしているかのような緊張感が全編に溢れています。読後思わずストレッチや筋トレをはじめてしまう人も絶対いるはず!

登場人物の各個人のドラマを上手に織り込みながら、チアに挑んでゆく大学生男子を描くド青春の物語。そしてそこはかとなく、底辺に流れる家族愛。完璧ノックアウトで、最後の全国大会シーンには泣きに泣きました。スポーツの好き嫌いに関係なく、すべての人におすすめします。


一馬は亡くなった両親が愛したチアの世界へと

部活って同じことの繰り返しなのに、なぜか眩しく

部活辞めるのって、相当なドラマでした

ときに家族以上に分かり合える仲間のすばらしさ