笑いながら不気味さに凍るホラー少女漫画

公開日:2013/4/29

犬になりたい

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : ぶんか社
ジャンル:コミック 購入元:電子貸本Renta!
著者名:三条友美 価格:105円

※最新の価格はストアでご確認ください。

本書はホラー漫画である。少女向けだと思うが、よくワカラン。そのよくワカランとこが非常におもしろい。

ホラー漫画は絵が下手な方が断然楽しい。下手というか、雑で、荒っぽい線で書き殴ったみたいな筆致。昔の貸本みたいなザラザラの紙に印刷されている手ざわりを再現してある本。本書がそうだ。

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子供っぽくて、グロテスクで、駄菓子みたいな味わいで、幼心に訴えてくるのである。

ほぼ全編が変身譚である。異形の怪物によって、あるいは異星人によって、寄生され手足を切りとられ極限状況に置かれ、ヒロインは人ならぬものに変身させられてしまう。いや変身と言うより変態だろう。

変態への恐怖は、変態への願望と紙一重だ。気色悪い生き物に強制的に変態させられてしまう恐ろしさの裏側には、早く変態してしまってその恐怖から逃れたいという気持ちが張り付いている。一度変態してしまえばあちら側の生き物になってしまい、もう怖がる必要はなくなる。それどころか仲間に囲まれるという意味でいままでの環境と何ひとつ変わらない暮らしが待っているのだ。

けれど、こちら側の人間からみれば相変わらずおぞましい姿をさらしているのである。

11本の短編を収録したこの本にはそうした恐怖がこれでもかと描かれている。特に、最後のページでドバーンと破裂するむごたらしい絵には怖さがこってり込められているのである。

でも最初に言ったように、その絵には稚気を思わせる「これでどうだ!」感があふれていて、なんかちょっと笑いそうになりながら、「やってくれました」と思わず拍手したくなるバカバカしさも感じさせずにおかない。

笑いながら怖いというホラー映画のお好きな方なら、何にも手近に読むものがないときおすすめの1冊である。


訳も分からず変なものを受胎している

さらに赤ちゃん調教

キノコを食べたらキノコが生えてきた マタンゴである

虫に寄生される