恋はひとつの病気だ。それもかなりイタいやつ

小説・エッセイ

2013/5/6

愛がなんだ

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:角田光代 価格:496円

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角田光代の書く言葉にはリズム感がある。読んでいてとても心地良い。そのリズムに、テルコの先走りすぎるマモちゃんへの片想いの気持ちが絶妙にマッチしていて、角田光代の小説の中では断トツに好きな作品。しかも内容も、究極の片想いという他人事ではない物語。

テルコのOLの日常は、はっきり言ってもの凄い。いつでもマモちゃんからの着信を取れるように会社の電話にはでない、でも自分のマモちゃんからの携帯への電話は絶対に出る。しかも話し込む。呼ばれたら飛んでいけるように無駄な残業をして会社に残ったり、かと思えば呼ばれたので忙しい中さっさと早退したり。3日連続同じ服で来たかと思えば、夕方からトイレにこもってバッチリメイクをしたり、挙句の果ての無断欠勤。お前、OLを舐めてんのか! しかし、仕方ない。だってこれは片想いという名前の病気だもの。そしてそれを、これがヤバイということを、テルコ本人もきちんと自覚しているのだ。それを自覚していながらも、止められないのだ。だってこれは病気。全ては愛するマモちゃんのため。

マモちゃんの会社の周りを歩いたりとストーカーみたいなことをしつつも、会って怖がらせてはいけないからと思ってがんばって隠れるテルコも、また共感しまくってしまう。会いたいけど、怖がられては元も子もない。片思い女子たちにとって、怖い女、重い女になるのだけは絶対に避けたいのだ。連絡が何日もないマモちゃんに対して「マモちゃんの声が聴きたいとか、そんなんじゃない。ただ、死んでないか確認したいだけ。心配なだけなんだ。」と言うテルコは、もうどっからどう見ても20代前半の過去の私。わかるわー。

しかし、重たい女になってはいけないとわかっていながらも、マモちゃんを前にすると暴走してしまうテルコ。
「彼を不機嫌にさせた理由はなんだ? コンビニの鍋焼きうどんでいいと言われたのに、スーパーで買いものをして温サラダと味噌煮込みうどんをつくったことか。カビキラーまで買っていって風呂場を掃除したことか。プラスチックとティッシュがいっしょになったゴミ箱を検分し、燃えるものと燃えないものに仕分けしたことか。」―この暴走巣作り加減。恋はやはり病気だ。

他人がしているバカな片想いに対しては、冷静に判断できるのに、自分のことになるとどうしてこうなんだろう。全国の片想いをしている女の子たち、これを読んで自分の恋の切なさとイタさに、大共感してください。


マモちゃんから電話が来て嬉しくても、なんでもないことのようにふるまうテルコ

なぜ彼を苛つかせてしまったのかわからなくて、そのまま自己嫌悪に陥ることってある

最低最悪なOL。わかっているけどどうすることもできない

好きであるもの以外は、全てどうでもよくなってしまう。あぁ、共感