今どきの若いヒトの生態を捉えた、興味深いビジネス書

公開日:2013/5/7

「3年で辞めさせない!」採用

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 講談社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:樋口弘和 価格:540円

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新入社員がちょっぴりブルーになる季節、5月。若手社員の早期離職が問題視される昨今、あなたの職場の新人や後輩たちの様子はいかがですか? この本では、人材育成企業を経営する著者が「優秀な人材を見抜いて・惹き付け・辞めさせない」ための極意を指南しています。

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冒頭から「20人入社して3年後に8割辞めたら、その会社の損失は1億2000万円になる」と具体的な数字を提示され、危機感はグッと高まります。プロローグは就活マニュアルで武装した、ひとすじ縄ではいかない就職氷河期以降の若者たちの例から始まります。

・面接で人は必ず善意の嘘をつく
・優秀すぎる学生を採らない勇気
・面接官はなぜ「東大卒」と「帰国子女」に騙されるのか
・将来のリーダーをどうやって見つけるのか
・学生からの返事は1週間しか待たない

など、今その手の問題で頭を悩ませている人にとっては、すぐに読みたいコンテンツが並びます。そしてメインテーマは、3年で辞めさせないための「かまってあげる仕組みをつくること」の重要性。

著者によれば、今どきの若手社員は「かまってあげる」必要性があるとのこと。成長意欲が高く、しかもそれを短期間で達成しようと考えるワガママな面を持ち合わせている彼らは、企業の価値観を押し付けられたり、上司が自分たちの育成に関心がないとわかると、“ここで働いていていいのだろうか” と、すぐに退職を考え悩み始めてしまう。ゆえに常に彼らをかまい続けて、課題や刺激を与え続ける働きかけが必要であると。ズバリ、入社後の2年間は「会社が耐える期間」とも。今どきの社員育成には、そんなきめ細かな工夫や忍耐が必要なのですね。

この本には今どきの若者気質も書かれているので、採用や育成部門に携わる人はもちろん、今組織の中で働く人すべてにとって、新人や後輩たちと上手につきあうための参考になると思われます。


面接では、素直さ(自己認知)、情熱(達成思考)、柔軟性(適応能力)に関する行動特性(コンピテンシー)をもとにジャッジ。企業が奪い合うのは、コンピテンシー発揮度レベル3の若者なのだそう

自己評価と他者評価のギャップに苦しんだ経験の少ないゆとり世代は、自分本位なコミュニケーションになりがち。ということで、接客業のバイト経験が重要なのだとか

現代の若者はモチベーションに火がつきさえすれば、すごい熱量を発揮するはず。「上手にかまい続けて飽きさせない」のが辞めさせないコツ