辛い思いをしているときや行き詰まった時に読み返したい短編集

小説・エッセイ

公開日:2013/5/8

もらい泣き

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 集英社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:冲方丁 価格:1,028円

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こちらの作品は、冲方丁さんが『小説すばる』で「泣ける話」をテーマとして連載していたコラムを1冊にまとめたもので、周囲の方々から聞き集めた「泣ける」体験談を元に、エピソードの本質はそのままに修正や創作を加えて編み直した33本の“物語”集です。

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人は、心を激しく揺さぶられた時に泣きます。悲しくて泣くときもあれば、嬉しくて泣くときもあります。ただ、自分が泣いた話ではなく「泣ける話」ということになると、他人の心を激しく揺さぶる必要があります。だから、「泣ける話を教えてくれないか」と尋ねられると、自分が生きてきた中で多大な影響を与えられた体験が語られるのですね。それに共感できるかどうかは受け手の心情次第ですが、人生観を変えられるような強烈な思い出というのは、やはり他人の心も激しく揺さぶります。そんな思い出の数々が、ここには綴られています。

だからもちろん、共感してもらい泣きするような話もあれば、思わず笑ってしまうような話もあります。ただ、私の心象に最も強く刻まれたのは、奮い立たされる話でした。どうやら私は、どこまでも真摯に取り組んでいる人の話や、不器用だけど真っ直ぐ生きている人の話に弱いようです。自分がそうありたいと思っているからかもしれません。

そういう意味で、私は「主治医とスイッチ」「鬼と穴あきジーンズ」「仁義の人」の3つのエピソードが気に入りました。「主治医とスイッチ」は、地元で絶大な信頼を得ている町医者が、なぜそういう信頼を勝ち得ているかに気づいたという話。「鬼と穴あきジーンズ」は、現場の鬼といわれるほどの真摯さで仕事に取り組んでいる人の話。「仁義の人」は、亡くなった友人の思いを受け継ぎ強い信念を持って強いチームを率いた人の話。辛い思いをしているとき、行き詰まったときに、また読み返したいとおもいます。あなたはどんな話に、心を揺さぶられますか?


まえがきで、なぜ「泣ける話」を書こうと思ったかが語られている

心を揺さぶられたエピソードその1「主治医とスイッチ」

心を揺さぶられたエピソードその2「鬼と穴あきジーンズ」

心を揺さぶられたエピソードその3「仁義の人」

Kinoppyで購入し、Readerで読んでみた