短編の名手・星新一による濃厚なワンスプーン・エピソードの極み！ついに電子化！

厚生省（現・厚生労働省）が2000年に新しく（もう13年も前ですが）発表した食生活指針。これを見るとこう書かれています。
「楽しく、いろんなものを美味しく食え」

さりげなく“1日30品目食え”が無かったことにされているのは驚きですが、頑張って食べるのはストレスであり、色々なものを楽しく食べてこその健康であるということだそうです。

これは読書もしかりかな、と思います。教養のためにたくさん読むことは大切だと思いますが、いくら古典名著と言えど、楽しく親しめなければちっとも滋養にはなりません。「楽しく、色々な名作を読む」というのがイチバンです。

そうです―――。これを余すところなく叶えてくれるのが、短編の名手・星新一の真骨頂！

本作はみんな大好き、星新一によるショートショート集です。現代の寓話とも言える、皮肉や教訓のたっぷりぎっしり詰まった短編がなんと40話。SF色の強いモノから、思わず脱力してしまうモノ、謎かけオチのようなお話や、背筋がゾゾ～ッと寒くなる話など、一流シェフのフルコースもびっくりの充実ぶりです。

さらに驚くべきは、一編一編の短さに反比例した異常な読み応え。どれもこれも引き算の徹底された短編ですが、アンバランスな程のパンチと味わいがあるんですね。強い余韻や残響がまるでオーケストラのようになるので、寝る前に一気読みすると眠れなくなること請け合い！

SF作品を読んだ時の不思議な感覚をセンス・オブ・ワンダーなんて言ったりするそうですが、本作はその権化のような短篇集。
国も時代も、なんだかよくわからないけれども、なにか分かる。

どこか分からないけれども、なんだかとっても気持ちのイイ所をくすぐられる！！ 老若男女問わず、是非一度はご賞味頂きたい1冊です。