ゆるキャラや様々なブームの発信源・みうらじゅん的ポジティブな生き方
公開日:2013/5/19
さよなら私
ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader | 発売元 : KADOKAWA |
ジャンル:小説・エッセイ | 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy |
著者名:みうらじゅん | 価格:496円 |
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マンガ家としてデビューしたみうらじゅんさん。今はそれ以外のことが脚光を浴び、もはや何をしている人か分からない。そんな立ち位置にも関わらず、常に何かを発信して人々を魅了し固定ファンも数多くいる。そんな独特な個性はいったいどこから来るのだろう?
仏像好きから仏教にも詳しいみうらさん。駐車場などにある看板の「空アリ」という言葉を、“あきあり”ではなく、“くうあり”と読むことで、空―あらゆる事物は固定的な実体性を持っていない―のに、それがあるとはなんぞや? と問いかけるところから本書はスタートします。 この言葉の捉え方、別の角度から切り込んで新たな解釈にしてしまい掘り下げていく感じが、いかにもみうらさん的に思えます。
それまで注目されなかったゆるキャラや仏像が、みうらさんの活動でスポットを当られたのも、その捉え方の自由さから来ているんじゃないかと私は思います。
そんな新たな解釈を、人間ならば誰でも考える苦悩に当て嵌めて、ある意味でポジティブにしてくれる。なんというか、思い悩んで視野が狭い人がいたとするなら、その視野をナナメ向こうに向けさせて「あれ? これは悩むことだっけ? そもそも悩みがあるのは当たり前だし」と思わせる。いつのまにか煙に巻き、気付くと深刻さがなくなりポジティブな諦めへと導かれていくのです。
恐らく、かつてはみうらさん自身も苦悩の日々を送っていて、そんな中から編み出した答えなのではないかと思います。そこから逃れようと工夫した結果、人々に認められる程の個性となった。そんな気がします。もちろんそんなシリアスな内容ではなく、仏教からエロまで、みうらじゅんさん的な面白さ満載です。
生きてくことが辛い大人や、はたまた悩み多き青少年にも、ちょっと面白く考え方を変えてくれる。私も何か苦しいときがあったときは「そこがいいんじゃない!」と、叫んでみます。
ネガティブな言葉に感じるが、そうではない?
よく言われる「自分探し」を井上陽水さんの歌に例えてるのが、言いえて妙
本書の核心。自分、つまりタイトルの“私”
どんなにつらい状況でも愛せる気がします
今後この言葉を聞いたら赤面しそうです