「このマンガがすごい! 2013・オンナ編」第2位! ネットで話題の感動作がついに電子化!

更新日:2013/5/22

式の前日

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:穂積 価格:432円

※最新の価格はストアでご確認ください。

 スポットライトが当たる日は限られている。だが、写真に残る大切な一日よりも実はその前夜や何気ない日常にこそ、忘れたくない思い出は詰まってるのではないか。本作品はそんな大切な日常を、巧みに描き出した作品集だ。

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「このマンガがすごい! 2013・オンナ編」で第2位に輝いた、穂積さんの初の作品集である『式の前日』は、Twitterやまとめサイトなど、ネットを通じた口コミで評判が広がった話題作だ。オムニバス形式の短編集であるが、どのストーリーにも、日常の、ほんわかとした温かさがある。結婚をひかえた男と女、ワケありな親子、双子の兄弟、小説家と親戚の女子中学生、飼い猫と飼い主…。短編集には、様々な「2人組」が登場する。

「ねぇ夕飯何食べたい?」
「なんでもいいよ」
「張り合いないなー」
「だって、なんでもうまいじゃん」
「…張り合い…ないな」
「あ、タマネギは抜いてね?」

日常生活の中にある、2人の何気ない会話は、互いを思い合う心が感じられる。実にさり気ないのだ。何処にでもあるような会話なのだ。だが、だからこそ想像力を引き立たせられる。思わず自分の日常を重ねてしまう。

ほのぼのとしたリズムで進みながらも、どのショートストーリーにもメッセージ性がある。大きなテーマは生と死と言えるだろうか。それ故に、ゆったりした温かさの中にも、2人の間には、ちょっぴりほろ苦さや切なさが感じられる。そして、終盤のサプライズには誰もが驚かされるだろう! 心にじんわりと沁みわたる読後感が心地よい1冊。


表題の穂積さんのデビュー作を始めとした、短編作品集

結婚式の前日の男女を描いた「式の前日」。2人の距離感が素敵

たまにしか会うことが出来ない、ワケあり親子の物語である「あずさ2号で再会」

兄弟で初恋の思い出を語る「モノクロ兄弟」

どの作品も、繊細な絵に魅せられる

淡々と進む物語は、どれも、ほんわかとした読後感だ
(C)穂積/小学館