なぜ日本が今後枯れゆく国なのかが、滔々と語られてる話題作
更新日:2013/5/24
あの勝間和代さんがメルマガで「この本のネガティブレビューを見て、ぜひ読みたいと思った」と書かれていたので、興味をそそられました。著者はロンドン在住の元国連職員。Twitterやブログでの発信をきっかけにWebメディアへの執筆を開始、ネット論客として脚光を浴びています。そんな彼女が「日本は、これこれこんな理由でダメなのよ~!」と、バッサリ斬りまくっているのが本書であります。
お品書きは、下記のとおり。
1章 ニッポンはなぜ貧しくなったのか
2章 ニッポン人の働き方はこんなにおかしい
3章 グローバル人材ってなんだ?
4章 文明未開の国――本当に「貧困」な日本社会
5章 ドメ思考では取り残される! 世界と日本のこれまでとこれから
6章 2020年を生き抜くために
ネット親和性が高く読みやすい口調でよどみなく綴られる、その論調はこんな感じです。
“ あのさ、日本は今一見数字上では豊かだけど、実は貧しいってこと知ってる? 欧州ではまったり人生を謳歌する国も多いのに、日本人は死ぬようなレベルの時間外労働をしてるじゃないの。世界幸福度ランキングでは不幸な国だと評されてるし、若年層の死因のトップは自殺。仕事の「結果」より「人間関係」を重視するから、日本企業は馴れ合いから抜けだせずに非効率的なの。人任せで考えない傍観者ばかりで自発性もない。これじゃグローバルな人材なんて育ちっこないのに、それら全てを当の本人が気づいてないとは、もう枯れるしかないわけよ~、わかる? ” ってな具合に聞こえてきます。
読みながら、徐々に苦しくなってきます。日本の先達が構築してきた組織風土や風習の弱点や悪しき点が、完膚なきまでに叩きのめされていて、しかもその根拠も明確。グーの音も出ません。
しかし個人的な経験から言うと、少し違和感を感じる点もありました。読む人それぞれの立場や観点から「そこは違う!」と声を上げたくなる箇所もあるのではないかなと思われます。
その一方で、「おお、これは納得!」という部分が後半に近づくにつれ増えてきます。たとえば、原発事故のくだり。あの時期、日本人に求められていたのは、今、何が起きているかを正確に理解して解釈し、真実を判断し、自分の頭で考え決断することでした。その「一連の思考のプロセス」「考える力」が、残念ながら私たち日本人には欠けている。おっしゃる通り。
最終的には「日本は今後枯れていく国」「だから海外でも食べられるスキルを考えておこう」という出口に向かいます。文末は極めてスタンダードな着地点なのですが、でもそれが今足りないのだと思うと、複雑な思いになります。
GDPランキングで日本は3位。なのに、若年層の自殺は深刻化するばかり
影響力のみならず、「経営に関する学術論文の引用数推移調査」(2012, Google scholer)でも、日本は中国にもインドにも抜かれるという切ない結果が
実は「日本はかわいそうな国」で「よその国から好かれている」のは妄想だそうです。ご~ん