やっぱり恋愛は御法度!? 綿矢りさが描く、アイドルの栄光と凋落!

小説・エッセイ

公開日:2013/5/25

夢を与える

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 河出書房新社
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:綿矢りさ 価格:594円

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 「笑って! 笑っているだけで良いんだよ! 何も考えなくて良いよ!」
 たまにモデルの仕事をするのだが、そんな言葉を掛けられることも多い。受け手への伝わりやすい表現をモデルとして考えたいのだが、ただ笑うことを強いるカメラマンは、中身空っぽのお人形さんを望むのだ。私が私であることの意味は何だろう。人間ではなく、「商品」として見られていると思うと、益々上手く笑えなくなる。この物語の主人公、夕子と同じように。

『夢を与える』は、夕子がチャイルドモデルとしてのCM出演から国民的アイドルになり、スキャンダルによって転落するまでを描いた長編小説だ。世間で注目されればされる程、世間での夕子のイメージと、本当の自分自身との間にギャップが生まれる。本当の自分とは何か分からなくなり、「演技」し続けなければならなくなる。読み進めれば読み進める程に、悩み、苦しむ夕子の姿に胸が痛む。

「夢を与えるとは、他人の夢であり続けること。だから夢を与える側は夢を見てはいけない。」居場所を求めて、もがき苦しんだ先にも、救いはない。人の人生を食い尽くし、使い捨てにする、世間の恐ろしさを感じさせる1冊だ。

綿矢りさの芥川賞受賞後、3年半ぶりの長編小説である本作は、本人が否定していても、設定を借りた自己投影の作品ではないかと思わされる。若さ等、いつかは廃れいくもののはずだ。一度注目されただけで廃れるなんて御免。私は、消費されたくない。使い捨てられたくない。悟りきった表情を浮かべながらも、そんなあがき声がこの本から聞こえる。


チャイルドモデルだった夕子は、スターチーズのCMに起用されることとなる。契約期間は「半永久」!

疲れから、だんだんと以前のようなスマイルができなくなる夕子

受験勉強のために仕事を休養するも、募る焦り

恋人とも、どうも上手くいかない

いろんな経験を経て、夕子は様々なことを悟り、大人になっていく