いま読むべき! 時事ネタとネットリテラシーの両方を学べるリアルサスペンス

公開日:2013/6/10

予告犯 1

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 集英社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:筒井哲也 価格:500円

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中学受験では、作文を書くためにニュースを見て社会の動きを知っておくことが重要だとよくいわれます。また、小学校では情報教育がさかんで、情報リテラシーやネットマナーなどについて、子どもたちが学んでいます。つまり、今の子どもたちにとって、社会…とくにネット世界での動向は、非常に興味深いことなのです。
そのネット世界では、サイバー犯罪が増加傾向。連日、日本全国の警察本部にあるサイバー犯罪対策室などが不正アクセス、インターネット詐欺などを取り締まっています。

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本作は、言葉は悪いですが、そんな“旬”なテーマを扱った強烈な社会風刺&サスペンススリラーコミック。新聞紙で覆面をしていることからネット上では「シンブンシ」と呼ばれるネットテロリストが、「明日の予告を教えてやる」と、動画サイト“Your Tube”(ユアチューブ)に犯行予告を流し、次々と実行していきます。

集団食中毒事件を起こした某食品加工業者には“きっちりと火を通し”、某外食店の調理場でゴキブリを揚げてSNSサイトで発表した元バイトには“特製メニューを食べさせ”、性犯罪事件をSNSで擁護した大学生には“元気玉を注入”。はじめはネット住民から叩かれていた「シンブンシ」は、弱者の味方・仕置人として次第に英雄扱いされていきます。

設定・内容が旬であるとともに、絵のクオリティがコマによっては写真と見まがうほどに高く、「シンブンシ」を警視庁サイバー犯罪対策課が追う攻防劇が非常にリアル。手に汗握ります。

作者は『リセット』や『マンホール』など、リアルなストーリー展開と描写でカルト的人気を集める筒井哲也。
アニメ化希望の声がますます高まっている本作。読後に気持ちがスカッとするか、考えこんでしまうか、あるいは怒りを感じるか。いずれにしても、時事ネタとネットリテラシーの両方を学外で学びたい子どもだけでなく、その保護者やコミックファンなど、今の社会を生きる幅広い層が、まさにいま読んでおくべき問題作です。


“Your Tube”にて犯行予告。はじめは住民に叩かれていたものの…

容赦ない犯行を動画で無慈悲に流す

警視庁サイバー犯罪対策課の面々のするどい追跡劇も見もの
(C)筒井哲也/集英社