阿部サダヲ主演で映画化! 無農薬を実現させたリンゴ農家の実話!

小説・エッセイ

公開日:2013/6/16

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 幻冬舎
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:石川拓治 価格:546円

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「狂ったこの世で狂うなら気は確かだ。」シェークスピアは『リア王』の中でそんな言葉を遺している。野の草木は自然の力だけで育つのに、畑は農薬まみれでなくてはならないというのはよくよく考えれば、狂気だ。そのオカシさに気づいてしまったリンゴ栽培農家の木村秋則は、「気が狂っている」と陰口を叩かれながらも、戦わねばならなかったのだろう。彼は世間体も気にせず、生活苦に負けず、自分の信念を貫き通し、ついに不可能を可能に変えた。この本はその軌跡だ。

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本作は、不可能と言われていた無農薬リンゴ栽培を実現させた青森のリンゴ農家・木村秋則の記録である。NHK「プロフェッショナル・仕事の流儀」で2006年に取り上げられてから大きな反響を呼んだため、その後、取材を深めて書籍化された。2013年には阿部サダヲ主演で映画化もされ、多くの感動を呼んでいる。

木村秋則ほど、意志が強い人間を私は知らない。「ひとつのものに狂えば、いつか必ず答えに巡り合う。」木村の言葉は、彼の人生そのものだろう。

妻が農薬に弱い身体だったことや無農薬の稲作栽培を知ったことをきっかけとして、彼はリンゴの無農薬栽培を目指すことになった。農薬に代わる何かを探して毎日畑で実験を繰り返すも、失敗は続き気づけば借金ばかりが膨らんでいく。次第に周囲の農家からも孤立し、大切な妻や娘たちにも苦労をかけてしまう。自殺を考えることさえあったという、そんな10年以上に及ぶ壮絶な生活の果てに、彼はようやくあるひとつの方法にたどり着いた。木々や虫、雑草の声を聞き、自然に倣った栽培をすれば良いのだと気づいたのだ。そうして、彼は自身に課した長く厳しい孤独と絶望を乗り越え、「奇跡のリンゴ」を作り上げていく。

大好きなことを極限まで突き詰めることとはこういうことなのか。彼の決意の強さは圧巻だ。また、奇跡の背景にある、家族を初めとする周りの支えに胸が熱くなる。夢を追いかけている人に、ぜひ読んでほしい1冊。


表紙は木村さん。笑顔が眩しい

NHK「プロフェッショナル・仕事の流儀」で強い反響を得て、書籍化

生まれつき、疑問に思ったことは突き詰めて考える性格だったという木村さん

木村はリンゴの木に話し掛ける。人という生き物として、リンゴという生き物と向かい合っている

実験が上手くいかず、800本のリンゴの木を瀕死状態にしてしまったことも

「私が頑張ったんじゃない、リンゴの木が頑張った」という木村さん。自然と向き合ったからこそ、奇跡は起きたのだ