村上春樹にわずかでもかすったことのある方、必読! 爆笑必至の舌鋒書評トーク

小説・エッセイ

2013/6/28

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』メッタ斬り!

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 河出書房新社
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:大森望 価格:302円

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村上春樹狂想曲から3か月が経とうとしておりますが、皆さまは読まれましたでしょうか、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』。読んだ方にはもちろん、買ったはいいけどまだ読めてない、読んだほうがいいかもだけどなかなか時間が、という方にお勧めしたいのがこちら「メッタ斬り」。愉快痛快、鋭い舌鋒に爆笑必至の書評トークでございます。

とにかく本書に関してはとにかく読んでみてくれ! と声を大にしていいたい。もうね、自宅で読んでいてよかったです。腹を抱えて笑いましたもん。

まずは『多崎つくる~』が何部売れたか、どんな手法で売り出されたか、という説明から始まり(大森さんはカウントダウンイベントにも参加されています)、あらすじもネタバレしない程度にきちんと説明してくださる。ところどころに適度なツッコミを入れながら。

個人的には大森さんが、<『ドラクエ7』を思い出しました>と話している部分が最初のツボ。新作は、やっぱり発売日に買ってやらないとね! と毎回楽しみにずっとやっていたのに、「7」のときに初めて「あれ? ……このげーむの何が面白いんだろう?」と思った、というくだり。部品はみんな村上春樹なんだけど、なんにも面白くない。村上春樹ってなにが面白かったんだっけ? と思ったと比較するところです。
……もうね、これまさにそのとおりで! わ、わかる~~~!!! と思わず声を出して笑ってしまいました。自宅でよかった!

そのほかにも、「多崎くんは、もっといろいろ話を聞いたほうがいいと思う」とか(笑)。豊崎さんは豊崎さんで、「深読みすることが、ハルキの甘やかしになる」「甘やかしちゃ、ダメッ! ダメなものはダメ!」と吼えている。細かな指摘、ツッコミがいちいち腑に落ちて、あははは、わかる、わかるよ~~とゲラゲラ笑ってしまうのです。村上さん、ごめんなさい。

でも誤解していただきたくないのは、お2人がただ茶化して虚仮にしているわけではない、ということ。昔からの作品を読んできて評価もしているお2人だからこそのこれは、れっきとした「書評」なのです。だからこそ、「これはああいうことじゃないか」「こういう視点もあるのじゃないか」と分析している箇所も、ナルホドと頷いてしまうのです。個人的には、名古屋出身の豊崎さんが、名古屋の地域性について語っているところに一番うなずいてしまいました。私も名古屋出身なのですが、都会ぶってはいるけれど保守的で閉鎖的なあの特性というのは、今回の作品にとても生きている、というか説得力をもたせているな、と思って読んでいたので。そういう、マジメな部分も含めて読み応えじゅうぶんな1冊です。

で、ですね。このお2人の凄いところは、それだけネタバレしてこきおろしたりもしているのに、なぜだかかえって読みたくなる、というところなんです。その視点でちょっともう一回読んでみようかな、と実際わたしは再読しましたし(それまではそんなつもりなかった)、たぶん未読の方も、「そんな作品ならちょっと読んでみたい」と思うはず。なんていうか、絶妙なんですよねえ。

巻末には『1Q84』メッタ斬りも特別収録されていますので、ぜひぜひこの機会に読んでみてください。値段もお手頃、そこらのカフェでお茶するよりもお得ですよ!


確かに! と納得したドラクエ7との比較箇所(ドラクエやったことないけどなんかわかってしまう)

引用しながらのツッコミ、この絶妙のコンビネーション

たぶんこれ、読み終わった人みんなの感想ですね(笑)