テレビを席巻する女装家マツコ×強欲女王うさぎの魂のガチバトル!

小説・エッセイ

2013/7/1

うさぎとマツコの往復書簡

ハード : iPhone/iPad/Android 発売元 : 毎日新聞社
ジャンル: 購入元:Kindleストア
著者名:中村うさぎ 価格:※ストアでご確認ください

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現在、準レギュラー出演を含めて週に8本のテレビ番組に出演しているマツコ・デラックス。みなさんは週に何回ぐらい、マツコを見かけますか?

テレビや雑誌などのメディアは常々、トランスジェンダーな「おねえ系コメンテーター」を重用してきました。それは彼女たちが、一般の人とはひと味違った準拠枠をもっているから。直感的で率直、視点がユニークでちょっと辛口。彼女がオリコンの『好きなコメンテーターランキング』(2010)で池上彰さんについで2位にランクインしたのもうなずけます。片や、浪費や整形など自らの深い業を見つめまくりそれをネタに執筆し続ける中村うさぎさんは、実はマツコ・デラックス誕生の立役者でもあったのだとか。

そんなふたりがいったいどんな往復書簡をしているのか、『サンデー毎日』の同名連載をもとにしたこの本を読むにあたって、否が応でも期待感は高まります。

しかし、気楽に読めるライトな往復書簡への期待は、冒頭からあっさり裏切られます。ゲイとシングル女の孤独の相似形の話から始まるなど、いきなり深い。うさぎ女王が「これまで必死に自分探しをしてきたけれど、その行き着く果てには何もなかった」と空虚な心情を吐露すれば、「垂れ流した己の自意識に人様が反応してくれて、それでおまんまが喰えれば幸せになれると信じてきたのに。自分の為だけに生きるのはもう限界」と自問自答するマツコ。ふたりとも「自分の人生、これでよかったの?」「幸せになりたい!」と、赤裸々な雄叫びを真面目に真摯に綴ります。

途中、編集者からのリクエストに応えてなのか、やや無理やりな感じで政治について意見を闘わせるくだりもありましたが、やはりふたりの関心は「自分自身」。話題は自然に互いの「アイデンティティ確認作業」に戻り、自分の中の不一致を一致させるべく、心の奥底にうずまく本音をえぐり出すようにぶつけ合います。うさぎ女王がガンガン自己分析を進め、まだ吹っ切れていない部分があるマツコにも容赦なく自己分析を迫り出したり、いつのまにか自分たちの悩みを通じて「社会」を語り出したり「哲学」したり。

最後の最後で「おおっ、そこまで行き着いたか。で、その先は?」と盛り上がってきたところでいきなり終わります。続けてやや唐突にふたりの対談が入ります。「う~ん」とモヤモヤしていると、本を閉じる前に続編の紹介ページに飛びました。思わずクリック、うまくできてます。ちなみに現在はどんな書簡をやりとりしているのか気になって『サンデー毎日』最新号を買ったら、変わらず真面目なトーンでお互いの掘り下げが続行していました。

「何が幸せなのか、よくわからなくなっちゃった」という方に、おすすめです。


冒頭は、ふたりの出会いや連載が始まったいきさつについて語る対談からゆる~くスタート

マツコのことを「魂の双子」と評するうさぎ女王。お互いを思いやり尊重しつつの言葉のバトル。いつもは突っ込みタイプのマツコですが、この場では時にうさぎ女王をやさしく受け止めるような懐の深さを感じさせます

いきなりの大ブレイクで多忙を極めるマツコが、体調不良で連載をお休みするという回も