女性ならではの視点で宇宙飛行士という職業を考える

小説・エッセイ

公開日:2013/7/24

夢をつなぐ 宇宙飛行士・山崎直子の四〇八八日

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
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著者名:山崎直子 価格:497円

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著者の山崎直子氏が宇宙飛行士に選抜されたのが2001年。そして実際に宇宙に出発したのが2010年。「宇宙飛行士」というキャリアは、それを目指しての訓練や試練はもちろんのこと、選抜されなければなれないし、そして選抜されたところで本当に宇宙を飛べるかどうかが、最後までわからないというハードでシビアな職業でもあります。

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女性の宇宙飛行士も珍しくなくなった昨今ですが、彼女は夫がいて、2児の母でもある人物。当時はそのことにも注目が集まりました。こうしたスーパーウーマンが登場し、今や宇宙飛行士でありながら母であることに違和感がなくなってしまったのはとても喜ばしいことではないでしょうか。

本書では「普通の女の子だった」と言っていますが、これは嘘(笑)。見かけは普通でも、おそらく見えない「意思」のようなものは常人離れしていたのではないでしょうか。選抜されてから宇宙船に乗り込むまでの訓練などが多岐にわたり本書で語られていますが、どれも肉体的なハードさはもちろん、その状況に耐えられる精神力には敬服します。

世の中のお父さん同様、「家族と仕事」の板挟みになっていた時期を告白し、どうやって解決していったか、その心構えを読むのはとても有益。その冷静さ、判断力と分析力など、やはり「普通の女性」を超越している感が。

そして宇宙ステーション組み立てのために、ディスカバリーへ乗り込み、宇宙からの交信で娘さんの願いを叶えてあげるところなど、泣けます。全編を通して感じるのが、著者の真摯さ。一般的に感情に左右されやすいのが女という性ですが、こうしてコントロールできるんだ! というのもとても励みになりました。女性にオススメです。


夜空を見上げるとお母さんの職場! すごい時代になりました

こういうエピソードは宇宙をぐっと親しみ深く感じさせてくれます

デキルひとのお子さんはやはりデキル

女性宇宙飛行士だからこそ、さらに大変な家庭との両立
(C)山崎直子/角川書店