オリバー・ストーン監督が語る「アメリカ黒歴史」。信じようと信じまいと、これも現実なのだ

2013/8/2

オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史 〈1〉

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 早川書房
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:オリヴァー・ストーン 価格:1,944円

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NHK-BSで放送され話題となった同題ドキュメンタリーの書籍版。しかし「はじめに」で著者自身も「互いを補うものであって、まったく同じではない。ドキュメンタリーを観た人が本書を読んでアメリカ史への理解をさらに深め(中略)てくれれば幸いだ」と記しているように、むしろ書籍の情報量が圧倒的であり、完成されたものと考えて差し支えないのではないか。

電子書籍版では目次だけで30ページ近くあり、まるでアメリカという国が加担した犯罪の供述調書を読んでいるようだ。序章で「アメリカは史上例のない強大な力をふるって他を圧倒し、世界の覇権国家となった。その道のりは、誇るべき成果と忌まわしき幻滅の歴史でもある。これから本書で探っていくのはほかでもないこの幻滅の歴史、つまりアメリカ史の暗部についてである」と宣言されている通り、労働運動を潰したり、良識的な反戦派大学教授を免職したり、ファシストを応援したりしてきた黒歴史がいやというほど書かれている。だから、兵器産業のロビーであるネオコンには忌み嫌われ、「ガーディアン」やPBSなどのまっとうなメディアからは一読の価値ありと賞賛されているのだ。

アメリカ=民主主義国家or世界の警察と信じきっている人にはショッキングな事実には違いない。オリバー・ストーンという監督が『JFK』などで陰謀論的ストーリーの作品を制作してきたために、この著作を陰謀論で片付けようとしている人々もいるようだ。しかし、共著者のピーター・カズニックは歴としたアメリカン大学の史学教授、ネオコンとその配下のナイーブな人々には残念なことだろうが、これはすべて史実に残る現実なのだ。

この第1巻のサブタイトルは「2つの世界大戦と原爆投下」。降伏直前の日本になぜ原爆が落とされたかの経緯が、前大統領のルーズベルトが亡くなり、前副大統領のウォレスが引きずりおろされたあたりまで遡って詳細に記されている。

以下、2巻「ケネディと世界存亡の危機」、3巻「帝国の緩やかな黄昏」と続く。ジェームズ・キャメロンよりキャスリン・ビグローが好きだというような人には自信を持ってオススメ。大部だが、あまりの非道ぶりに驚きで読書が進むことは請け合いだ。


オリバー・ストーンは、このドキュメンタリーを制作したのは子供たちのためだと述べている。「今なら」「誤りを正す時間がまだ残されていると信じる」からだと

リーマンショック以来スキャンダルで有名な企業の名前がここでも頻出することに驚きを通り越して感心する

写真などの貴重なビジュアル資料も多数。これはチャーチルとスターリンが戦後の縄張りを大筋で決定したときのメモ

のちに原爆を投下した大統領、トルーマンが上院議員になれたのは無能だったから? ブッシュやライスが大絶賛してる人ですが…