「20年間無敗」…伝説の雀鬼・桜井章一と精神科医・香山リカによる異例の対談本!

ビジネス・社会・経済

2013/8/4

どうしたら桜井さんのように「素」で生きられますか?

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 講談社
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:桜井章一 価格:756円

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麻雀の代打ちとして名を馳せ、20年間無敗伝説を打ち立てた「雀鬼」桜井章一さん。伝説の男とは聞いてはいても、実際にどんな考えを持っている人なのか、この本を読むまで知りませんでした。読了後に浮かび上がってきた桜井さんは、タイトルにもある通り、「素」のままなのに、とっても強い人。人はみな、ものやお金や地位やお化粧など、色んなものを身に纏って、自分の弱いところを隠しているもの。でも桜井さんは、なぜか誰もが周りに纏っている鎧のようなものを、一切感じさせないのです。ヨガをするときによく言われる、「体幹」がすごくしっかりしているという印象。

桜井節と思えるもので一番印象深かったのは、「自分探し」に関して話している部分。今の社会では、自分探しがまるで良いことのようにとらえられていますが、「俺はけっしてそうはおもいません」、と桜井さんはいいます。「本当の自分」なんていうものは生まれたときからずっと持っているものだから、探す必要なんてどこにもない。自分を探すという行為は、すでにある自分を否定することになるから辛いし、幸せではないのだ、と。

香山先生も、フロイトやユングの学説から、人間には自分でも容易にアクセスできない無意識の部分があって、「本当の自分」のことなんて分からない、と言います。分からないまま理想の自分を追いかけたり、進化すべきという強迫概念に抱えてしまったりするのは、危険性もはらんでいるのだ、と聞いて、はっとしました。

周りの視線を気にしながら生きていたり、力を入れすぎてしまったり、人や自分の子どもに使命感や価値観を押し付けてしまったりと、現代に生きる人たちは「素」で生きることからは遠いように思います。複雑化した社会をシンプルにするため「子どもの頃に還る」という思考を持っている、という桜井さんの生き方や思想に学ぶところは多そうです。

一応、対談をもとに書かれた本ということですが、桜井さんと香山先生のページが交互に進み、まるで書簡のような構成になっています。桜井さんは独自の桜井流哲学を柔らかいことばで、しかしはっきりと主張するのに対し、香山先生は精神医学のお医者さんとしての観点から、論理的な分析を提示してくれます。相手の話を踏まえつつも、違う観点から丁寧に意見が重ねられていき、読み応えのある1冊です。


本当の自分は生まれたときから持っているから、探す必要がない、という

桜井さんが「素」に見えるのは、子どもの頃の考え方を、今でも持っているからかもしれません

男女の根本的な違いについてもの意見も