新撰組に女子が入隊! 本気で武士をめざすおセイが駆け抜ける、幕末大河ロマン

更新日:2011/10/6

風光る (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:渡辺多恵子 価格:432円

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男子校に女子が入学!? など、紅一点ラブコメは最近人気ですが、これ、少女マンガでは昔からけっこうある、王道の鉄板ネタ。

『風光る』は、幕末の新撰組に女子が入隊!という、いろいろたまらない設定。ですが、このマンガの魅力は、「女子が本物の武士をめざし」、幕末の動乱をひたむきに見据え、「武士としての成長」と「恋心」の狭間での葛藤に悩むところ。恋愛マンガというだけでなく、コミカル要素もふくんだ、しっかりとした歴史コミックなのです。

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ロマンスの中心は清三郎こと本名おセイと、唯一事情を知ってしまうみなさまご存知沖田総司。この総ちゃんときたら、とことん野暮天の鈍感オトコ。想いを寄せるセイはいつも「きーーーっ」とさせられます。その野暮天っぷりが読んでいてかわいらしくもあり憎らしくもあり(憎らしさ80%かな)。

この作品、現在も連載は続いていますが、30巻現在では、口に出さないものの相思相愛という仲に。けれど総司が自分の恋心を自覚し、この展開に行き着いたのは、つい最近のような気がします。さすが野暮天!

いろいろありました。男装しているとはいえ年頃の女の子、男だと思っていても焦がれてしまう隊士(あの斉藤一もなんとその一人)が続出したり、すれ違い、勘違いの連続、そして歴史上の悲しい事件ももちろん起こります。

そのなかで、二人の絆は強まっていくわけですが、ポイントは、「紅一点だから恋におちたわけではない」というところ。先にも書いたようにおセイもとい清三郎は「本気で」武士を目指します。女の子が、月代をそっているんですよ。その決意は並々ならぬもの。隊を想い、国を想い、精進していき新撰組のなかでも名指しされる使い手になれたのは、恋ばかりが理由ではありません。

共に戦う同士として認められたからこそ、総司の心も千切れそうに揺れるのです。

普通の女子として、の幸せはもはや清三郎にはありません。想いが通じ合ったとしても、武士をやめて彼を支える妻、にはなりえない。清三郎の成長と、だからこそままならない、だからこそ成立する恋の行方、そして幕末の動乱が向かう先、読みどころはたっぷりです。

30巻もいまから買うの大変…という人はぜひ、電子で集めてみては。


「立派な真実の武士になる」―家族を失ったおセイの、変わらぬ想いです

入隊早々、沖田にはバレてしまいます…

兄に似ていると無邪気に慕ってくるおセイに、めろめろになってしまう斉藤一

もちろん、血生臭いシーンもたくさん

野暮天、鈍感、だけど誰より強く優しい心を持つ沖田のそばで、おセイは武士としても女子としても焦がれていくのです (C)渡辺多恵子/小学館