美少女だから好き! ではなくて、高円寺さんが好き! と思わせる物語

ライトノベル

2013/8/11

高円寺碧のリバーシブルライフ 1 BOOK☆WALKER限定版

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : ブックウォーカー
ジャンル:ライトノベル 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:橘ぱん 価格:170円

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この『高円寺碧のリバーシブルライフ』は、KCG文庫という電子書籍と紙の出版を同時にやるのがウリの、わりと新しいレーベルからのご紹介です。著者は橘ぱん。言わずと知れた『だから僕は、Hができない。』の人ですね。そんなわけなので、ヒロインがやくざの跡取りとかいったって、主人公にベタ惚れで、数ページおきに好き好き光線を出してくるような話なのかなって思っていました。すいません。ま、基調は同じだと思うのですが、作風はちょっと違います。あとがきによると、本作のオリジナルが書かれたのは5年くらい前、ということなので『だから僕は、Hができない。』より前ですね。

物語は、主人公の中野くんがクラスメイトですんごい美少女の高円寺さんに告白するところから始まりますが、渾身のラブレターを渡すもののあっさりと撃沈します。その後、高円寺さんは、高円寺組の跡取りだという秘密が発覚して…。なんて感じで進むのですが、ヒロインの高円寺さんは、組の決めた許嫁と結婚はしたくない! とはいうものの、中野くんに対しては、とてもフラット。そして告白したくせに、中野くんも裏の顔を知って「騙されたー」とかいってます。そんな自然体のコミュニケーションを経て、中野くんは改めて本当の高円寺さんを好きになっていくのです。つまり、互いをちゃんと認識して、好きになるまでを書いた(1巻)お話というわけです。

丁寧な作りです。スピード感が、っていうなら、好きになるのはプロローグで片付けてしまって、あとはライバルヒロインでも出てくるのが常套のようにも思えます。でも、一度は「中野くん、このヒロインでいいの?」って思わせておいて、物語の中で高円寺さんに改めて惚れさせる技術は素晴らしいなと思うんです。そして、もうひとつの特徴が、主人公の中野くんのキャラが立っているということ。無色透明の主人公が多い昨今ですが、中野くんには「元野球少年」「ラーメン修行をしている」というカラーがあります。ラブコメは非常に数が多いのですが、本作は続刊が出たときに前の巻を読み返さなくても話を思い出せる作品だと思いましたよ。


最初は、大いなる勘違いからラブレターを書くに至ったわけですが

勘違いなので、当然撃沈するのです

失恋のせいで、登校拒否まで考える中野くん

裏の顔を知って、一度はときめきを感じなくなります

ところが、気づけば本音で語り合える間柄に…