一緒に住まずに、恋人気分。今の時代だからこそポジティブに週末婚!

小説・エッセイ

2013/8/17

週末婚

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 幻冬舎
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:内館牧子 価格:546円

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見慣れた文字であるはずなのに見慣れた字だからこそ、「あれ、この字ってこんな形だったっけ?」と思い始め、やがて正確な字の形がわからなくなってしまうことがある。ゲシュタルト崩壊というらしいが、この現象は人間相手でも起こることのような気がする。例えば、夫婦関係。新婚当初は仲むつまじくても、ずっと側にいると、途端に相手のことが分からなくなる。夫婦生活は日常の共有だ。恋人同士のような刺激がなくなってマンネリ化。仕事だって忙しいのに、家庭生活にも悩まなきゃならないなんて「現代は夫婦3組に1組が離婚する時代」というのも仕方ない気がする。

刺激のない夫婦生活を恐れて結婚に踏み切れないアナタにオススメなのが「週末婚」かもしれない。「週末婚」とは、週末だけ同居する夫婦のこと。語源は内館牧子著『週末婚』による。この本によれば結婚生活において大切なのは「Talking、Discussing、Learnig、Fighting、Loving」。この全ての要素を長期的に満たすことが可能な結婚こそが「週末婚」なのではないか、という仮説に基づいた物語だ。仕事上の都合ではなく積極的に「週末婚」を実践するに至った夫婦を描いた本作はTBS系列で1999年に永作博美主演でドラマ化され、社会現象にまで発展した。10年以上前に書かれた話でありながら、仕事も結婚も手に入れようとする主人公の姿は、現代にも通じる。

主人公の月子は、三流企業に勤める地味なOL。美人で翻訳家の姉・陽子とは正反対だった。ある時、婚約者との仲を陽子に引き裂かれた月子は「幸せになることだけが私の復讐」と誓う。そこで思いついたのが「週末婚」。仕事も恋人も手にすることのできる最強の結婚として新しい恋人に提案し、実践することになる。

月子が行なった「週末婚」は、徒歩2分圏内にそれぞれ一人暮らしをしながら、土日は必ず2人で時間を過ごすというもの。その他はフレキシブル。病気の時は平日でも看病にいくこともあるし、SOSが出されれば、すぐに会いに行く。平日は相手を気にせず仕事に邁進出来る上、休日は恋人同士のように話題は尽きない。いつまでも相手と初々しい気持ちで向き合っていられ、家庭と仕事の両立、セックスレスなどの問題を解決してくれる。

だが、同時に問題もある。気をつけていないと、容易にすれ違いを生んでしまう。日常をほとんど共有しないのだから、ずっと自分を着飾ってばかりで、本音で語ることを避けることだって出来てしまう。結局どんな形態にせよ、夫婦関係に大切なのは、結局しっかりと向き合うこと。相手の価値を認め、自分の思いを伝えること。現代の結婚の制度に疑問符を投げかけながらも、結婚生活の本質に気づかせてくれる。果たして、月子の結婚生活は上手くいくのか?展開から目が離せない。

好きな相手には良い面ばかり見せていたいなんて、結婚生活においては不可能だろう。だが、どんな形態であっても、当人が幸せならば認められて良いはずだ。何が良いかは当人たちのライフスタイルによる。それを見抜いて幸せな結婚生活を送りたい。そのために、色んな結婚の形態を知るのも良いだろう。幸せな結婚生活をするために、この本は示唆的だ。


今でも元カレのことが忘れられない月子

姉・陽子に結婚を邪魔され、破局

今の恋人に「週末婚」を提案した月子。はじめは反対されたが、実際に行なうことに

メリットしかないと思っていた「週末婚」にも欠点が…。月子はすれ違いに苦しむ

建築家のテーマと週末婚が一致? 現代にも通じるテーマで書かれた考えさせられる1冊
(C)内館牧子/幻冬舎