マンガの王道！　ゆえに最強！！

主人公、青島くんは2年生にしてバレー部補欠。1年生レギュラー部員が使ったタオルを補欠仲間の伊東や小松と洗濯する日々を送る、何をやらせても平凡以下の高校生。一方、ヒロインの我妻さんは成績優秀、容姿端麗の水泳部員。青島くんは水場で洗濯をしつつ、プールで部活に励む我妻さんを眺めては今日も伊東たちと馬鹿話をするのだった。ところが青島くんは、意識を失うと未来の自分に入り込むというスタイルのタイムスリップ能力に目覚める。そして10年後になんと自分が我妻さんと結婚しているということを知る。

青島くんはたびたびタイムスリップして、未来のヨメである我妻さんから聞いた話や、自分が体験したことを現代にフィードバックすることで、我妻さんはもちろんのこと、周囲の仲間が傷ついたり、逮捕されたり（笑）しないように悪戦苦闘するというのが大まかな流れ。

作中で、未来は不安定なものであり、現代の青島の行動如何によってどんどんと結果は変わっていく。オランダ人とのハーフ、下妻シルヴィアさんが転入してくると、未来のヨメがシルヴィアさんに変わってしまうことも。当然、青島くんは我妻さんがヨメになる未来に戻そうとあれこれ頑張る。で、もしこの漫画がシルヴィアさんとのフラグを折ることでめでたしめでたしという流れだったら、レビューを書こうとは思わなかった。

シルヴィアさんは決してジャイ子の役割ではないのだ。いろいろと悩みを抱えたれっきとしたヒロインのひとり。青島くんのシルヴィアさんに対する割り切れない態度も、優柔不断ではなく、一緒に悩むべきレベルになっている。この傾向は巻が進むと余計鮮明になっていき、伊東や小松とつるんでリア充をねたむ集団、DX団として活動しているときにも、シルヴィアさんとはなにかと一緒にいることになる。一緒にバカをやってくれるシルヴィアさん。そして完全無欠のヒロイン我妻さん。ともに魅力的なヒロインに挟まれるわけだが、青島くんは一貫して我妻さんからぶれることがない。

最新刊で、修学旅行中に我妻さんの元へと駆け出す場面は、どこにでもいそうなダメな高校生だったはずの青島くんが、物語の主人公たるゆえんを見せつけられる名場面だ。