欲張りで寂しがり屋。でも束縛は嫌い、アラサー女のリアルな恋!

小説・エッセイ

公開日:2013/8/30

ぶらりぶらこの恋

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 幻冬舎
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:吉川トリコ 価格:1,210円

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気がつけば、ワサビなしでは刺身が食べられなくなっていた。シュウマイには辛子がいるし、うなぎには山椒とワサビが欲しい。味にほんの少しだけ変化が欲しい。しかし、こういうことって日常生活にありふれている気がするのだ。刺激がないと人生つまらない。恋愛にだって、いくら長く続いている恋人がいるとしても、どういうわけだが、ちょっとしたスパイスが欲しくはならないだろうか。

吉川トリコ著『ぶらりぶらこの恋』は、アラサー女子の恋愛を描いた小説だ。『ねむりひめ』で2004年新潮社「女による女のためのR-18文学賞」を受賞した彼女の描く恋愛にはどうも心揺さぶられる。女の可愛いところもズルいところも見事な表現で描き出してしまうのだから、ページをめくる度にハラハラしてしまう。

 

主人公は、野中るり子。気分に大きく左右される、宙ぶらりんのぶらこさんというあだ名を持つ彼女には何処にでも飛んでいってしまいそうな危うさがある。だが、こんな良い加減さは、きっと女子ならば誰もがもっているもの。だから、危ういぶらこさんに「本当にダメな奴だなあ」なんて思いながら、どういうわけか感情移入する自分に気づかされる。

ピアニストとしてバーで働いていたぶらこさんは、仲の良かった客・平岡宗介に突然求婚される。宗介は、彼女とは正反対の真面目なセールスエンジニア。婚約指輪代わりにグランドピアノを貰い、ぶらこさんは宗介との同居生活をスタートさせる。ピアノ教室を開き、自由気ままに過ごす、ぶらこさん。何ひとつ不自由なく2年目が過ぎた時、彼女はピアノ教室の生徒で5歳下の水谷暁生のことが気になり始める。一体ぶらこさんはどうなってしまうのだろうか?

 

温まった布団の上で毎朝じゃれ合い、おいしいお米とぬか床から取り出した新鮮な漬け物を一緒に食べる、ぶら子さんと宗介。朝の甘い2人には女子ならば誰もが憧れを抱くはずだ。だが、彼女は同時に暁生にも惹かれてしまう。宗介とは違ういかにもイマドキの若者っぽい雰囲気。でかい図体。獰猛な幼さ。時折のぞかせるくしゃくしゃっとした笑顔。暁生を家にあげ、ピアノを教えることに背徳感を覚えるのに、最愛の宗介の寝顔を眺めると「死んでくれないかな」なんて物騒なことを考えてしまう。「うわあ、嫌な女」と思うのに、共感してしまうのは何故だろうか。私の心の中にも、ぶらこさんが居るのかもしれない。女子ならば読まなきゃ損すること間違いなしの1冊!


宗介との朝の甘い時間

でも、ピアノの生徒・暁生にも惹かれている自分に気づく

でーも、やっぱり宗介が好き? ぶらりぶらこさんの心は揺れる

どうしようもなく暁生への気持ちが押さえきれなくなったぶらこさんはある行動に出る…ぶらこさんの恋の行方はいかに!
(C)吉川トリコ/幻冬舎