追憶の破片を拾いながら、あの日の青春を呼び起こす

小説・エッセイ

2013/9/2

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。上

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / メディアファクトリー
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:岡田麿里 価格:463円

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『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』―通称、『あの花』。
2011年にアニメが放映され、一躍話題になった作品である。アニメ好きに限らずとも、『あの花』と聞けば、名前だけ知っているという人もきっと多いだろう。本書は、そのアニメ原作である『あの花』を小説化したものである。

物語の登場人物は、幼い頃に仲の良かった男女6人組。この6人は、「超平和バスターズ」というグループを結成し、毎日飽きもせず、一緒に過ごしていた。そんな楽しい毎日が続くはずかと思いきや、その中のひとりの少女が命を落としてしまう。それから残りの5人はなんとなく疎遠になり、時は経ち、高校生へと成長する。そこから、物語は始まる。彼らは、傷つけ合い、ぶつかり合い、彼らの絆はまた紡がれていく。死んでしまった少女、本間芽衣子(あだ名「めんま」)が、主人公である「超平和バスターズ」のリーダー、宿海仁太(あだ名「じんたん」)の元に「願いを叶えて欲しい」と舞い降りたその日から。

本レビューは、小説版『あの花』なので、小説だからこその特徴を次に述べたい。アニメでは、基本的に幽霊? である、めんまからの視点はほとんど語られることはない。しかし小説は、所々めんまの心情描写がアニメよりも鮮明に記されている。また、記憶の欠片を拾っていくかのような、散文詩的なパートが挿入されていて、『あの花』の世界観を幻想的に表現している。アニメをご覧になった方も小説を読んで欲しいと思った。

最後に、『あの花』を読んでもらうためにも、この物語の魅力をもう少し語るならば、やはり「超平和バスターズ」の個性際立つそれぞれのキャラクター性だろう。へタレリーダー、ほんわか美少女、しっかり者、真面目、おちゃらけにクール…非常にバランスがとれている且つ、このバラバラな個性が絡み合うから、会話も読んでいて楽しい。バラバラだからこそ起こる問題があるが、それを皆で乗り越えていく。まさに青春全開だ。友情も恋愛も一生懸命な彼らをぜひ堪能して欲しい。きっとそのひたむきさに心打たれることだろう。


文章の所々に中二病的な描写があり面白い

めんまの心情も小説では細かく表現されている

まるで散文詩を読んでいるかのような

某ゲームを面白おかしく皮肉している部分は個人的なお気に入りシーン
(C)岡田麿里/メディアファクトリー