スペインの魅力を独自の取材で伝える1冊―匠の技の秘密にも迫ります

更新日:2011/10/6

スペイン 7つの小さな旅1

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 東京書籍
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:中山瞭 価格:216円

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バルセロナのサグラダファミリア、ロエベのカバン、スペインの大地が生み出すオリーブオイル、チーズ、ワインとスペイン好きでなくともおなじみのものから、アランフェスのいちご摘み列車、タラベラ焼き、ラガルテーラ刺繍まで、スペインのさまざまな魅力を独自の取材を通して伝えたのが「スペイン 7つの小さな旅」です。

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著者の中山瞭さんは、日本航空勤務を経てスペインに渡り、グラナダの大学で学ぶかたわら、日本繊維新聞のスペイン通信員として、スペインに関する記事を日本に発信し続けた方。現在はスペインと日本を行き来しているそうですが、スペイン在住歴が長いだけあって、本書では、ガイドブックなどには載っていない情報が、スペインへの愛情を込めて語られています。

本書の魅了はなんといっても、著者の中山さんが、スペインの伝統を今に伝える匠に取材し、独自の視点でその魅力を伝えている点です。ロエベのこだわりのかばん、刺繍と共に生きてきた村の女性たちによるラガルテーラ刺繍、ワインにオリーブオイル、チーズと、それぞれの製品作りにかける匠の思いと熟練の技の秘密に触れることができ、単なるスペイン紹介の書籍とは一味違い、読み物としても十分楽しめます。

1年前にかねてから行きたいと思っていたスペインへの旅をようやく実現した私は、この本を読みながら、楽しかった旅行を振り返ったり、まだ訪れていない街への思いをふくらませました。自分が訪れたレストランが紹介されていれば、おいしかった料理はもちろんのこと、店員と交わした会話まで思い出しました。

それにしても、スペインはなんと魅力にあふれた国なのでしょう。本書には写真がたくさん掲載されていますが、陶器や刺繍は彩り鮮やか、真っ青な空に映える建築物はどれも美しく、写真を眺めていると、今すぐにでもスペインに飛んで行きたくなります。

スペインに行ってみたいなぁという方にも、すでにスペインに行ったことある方にも楽しんでいただける本書、電子書籍では3冊に分かれていますので、特に興味のあるトピックの含まれた1冊を選んで読んでみることもできますよ。


アランフェス行きのいちご摘み列車では、かわいらしい衣装を着たコンパニオンが旅人を迎えてくれます。木製の列車の車内では、摘みたてのいちごが配られるそうです

ロエベの工場でクロコ・ダイルの革と格闘する製作責任者のホセ・ルイスさん。ロエベのすてきなカバンはこのような工程を経て製作されるのですね

電子書籍版は3巻に分かれており、第3巻ではコルドバとバルセロナが紹介されています。写真はコルドバのメスキータの遠望。メスキータはその内部がすばらしいのはもちろんのこと、遠くから眺めても独特の雰囲気があります