あの世から見るこの世。なんと明快!あなたもわたしもひとつです

公開日:2013/9/10

あの世に聞いた、この世の仕組み

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android 発売元 : サンマーク出版
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:雲黒斎 価格:785円

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別に辛いことはあまりないのに、ついついこういう本を消費してしまう私のような読者、結構多いのではないでしょうか。つまらない小説を読むより、読後なんとなくいいことをしたような、人生を変えるとまではいかなくとも、暑い日のコカコーラぐらいな爽快感と一瞬でもポジティブを注入してくれる自己啓発本。

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この1冊は厳密には自己啓発本とはいえないかもしれません。著者はカリスマ宗教者でもなく、セミナースターでもない。単にストレスが起因するセトロニン欠乏からくる記憶障害にかかってしまったクリエィティブプランナー。昨日の記憶もなかったというぐらいだから、相当に重傷。

うつの障害のひとつであるこの症状を経験した著者は、ある日突然という感じで「交信」の能力を授かります。交信の相手は自分の守護霊。読み物としてもこの辺のドラマチックな展開は◎。守護霊というと畏まって交信しなくてはいけないような存在に感じますが、彼の守護霊はそのへんのおじさんみたいな存在。あちらにいても、こちらの言葉で簡単に世界と宇宙と人間との関係を解説してくれるのです。その教えは、仏教の世界観。

そして何より著者の経験が読者にも起こりうるという、同じ土壌にいるぞという親近感、あの世の話となると眉唾物と構えて、「騙されるものか」と思って読む人もいるかもしれません。この1冊は、その説明の仕方のバランス感覚がよく、読者を説得するという点で成功しているのではないでしょうか。なによりタイトルのリズム感がいいですね。

仏教観を平坦に教える本、この数年でぐっと増えたような気がしますが、こちらはどこの宗派にも属さず、通勤電車に乗るようなノーマルさであちらの世界を信じさせてくれます。読後は必ずやこちらの「私」について、考えられずにはいられない、心地よいトリップ感のある1冊。


きっかけはいつも偶然。でも世の中に偶然などないと

この「自分のものではない思考」が守護霊だった

こういう図もわかりやすい

オンリーワン思想も素敵ですが、特別なものはなにもないというのもある意味楽で素敵