逃げ道を作らないで中二しました! というライトノベル

ライトノベル

2013/9/18

キミとは致命的なズレがある

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 小学館
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:赤月カケヤ 価格:315円

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第5回小学館ライトノベル大賞の優秀賞はサイコミステリーでした。記憶を失った主人公、海里くんはどうやら幼い頃に殺人を犯してしまったらしい。で、本人はそのことを思い出しかけるんだけど、周囲には事情を知っている風の大人や、謎の手紙をよこす人ありで…。結局、海里くんは本当に殺人犯なの? という図式をサイコな感じをにおわせつつ、あぶりだしていく作品なんですね。

当然、オチは真相に行き着くわけですから。用意された種や仕掛けはすべて明らかになります。ライトノベルでは、ご承知のようにデビュー作品で築いた世界で巻を重ねることが多いですけど。まあ、こういう作りだと無理ですよね。そういうことを織り込み済みで、受賞させたのはすごいなぁ、と思うわけです。

もっというと、文章は青臭く、ほぼ海里くんの語りで書ききったのに、最後の種明かしに脇役の日記を使う構成もどうかと思うのですが、そういう点に目をつぶって出版するのもすごいなぁ、と。最後まで読んで、おもしろいものを残すというのは、なかなかに難しいことだと思うのですが、さすがガガガ文庫ですね。

作中に登場する、殺人鬼とふつうの人を分け隔てる門。殺人鬼がみな通る(というか、通った結果殺人鬼になる)というアインズヴァッハの門というアイディアが結局すべてだと思うのですが、このアイディアだけを企画書に書いて出したら別の話になるような気もします。この作品は最後まで小説の形で書いて、出して、読まれて、という段階を経ないとお目にかかれなかった作品のような気がするのです。


謎の手紙ともリンクする「不幸」というフレーズ

自意識過剰じゃないの? という描写も、サイコものだと光る

物語は後半、善悪の定義へと向かって…

そして作品の核であるアインズヴァッハの門というアイディアに行き着く