「大人の男」は震災といかに向き合うべきか? 被災地に暮らす作家が語る男論

伊集院静「男の流儀入門」

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2011年3月11日の夜。闇に包まれた東北の夜空には無数の星が輝いていたそうです。それまでに見たこともないくらいの光を放つ星空に、著者 伊集院静氏が見たものとは? その答えは本書のエピローグにあります。そこで語られる氏の言葉は、まさに被災地・仙台に暮らす当事者のものでした。

本書「男の流儀入門」は作家 伊集院静氏がさまざまなテーマについて男としての生き方を指南する電子書籍。その第一弾がこの【震災編】です。今後【恋愛編】や【遊び編】の配信も予定されています。

この【震災編】のなかで、折に触れて登場するのが「大人の男」はこうあるべきという氏の考え。「大人の男」とはどういう人間なのか、その定義は示されないまま語られ続けるわけですが、それはまるで「お前はどうなんだ? 大人の男たり得るのか?」と強く問いかけられているような感じもしてきます。

曰く。「大人の男」は、今回のような大災害に備え、自らの精神や肉体を鍛えねばなりません。そして、ことが起こったらまずは自らの命を守り、家族の安全を確保し、近所の人々への配慮も忘れてはなりません。

そして、「大人の男」が震災といかに向き合うべきか、氏はこう語ります。
「弱っている人間に対して、自分の力のある何分の一かを彼らに与えるということが大前提。今、同時代、同時間に弱っている人たち、救済を求めている人たちの手が、具体的に自分のイメージとして見えなきゃだめ。それで暮らしていって、自分は手を差し伸べるという精神状態をきちんと自分の中でつくることが、一番大事なことですよね。少なくとも自分の手では立ち上がれない人たちがいることをまず認識することが大事だね」(第三章 総括より抜粋)

強い存在として、弱い存在を守る。困難から救い出し、引っ張っていく。「大人の男は強くあれ」、それが氏のメッセージのような気がします。

震災から半年以上が過ぎました。震災で芽生えた優しさや同情、恐れや絶望、さまざまな感情が時間の経過とともに薄らぎつつあるのかもしれません。そして、いつしかそんな感情を忘れ、忘れたことすら忘れてしまう…。復興への道筋は、忘却との戦いでもあると思います。自分が生きている間に遭遇してしまった大災害をいかに伝えていくか、震災で何があって、どう行動したのか、そのなかで起こった間違いも含めて語り継いでいくことが重要だと、氏は指摘します。

「大人の男」を語りながらも、その間口は女性や若者にも広げられています。あの大震災について、自分たちがすべきことや伝えていくべきことは何なのか? 今、改めて考えようとしている遍く人に、本書はその指針を与えてくれるのではないでしょうか。


三章構成の本編と、プロローグとエピローグによって構成されています

プロローグとエピローグはインタビュー動画。著者が直接語ります

本編はテキストと写真で展開。撮影は写真家 宮沢正明氏

エピローグ動画は本編を読み終えた人だけが閲覧可能

歌手 大友康平氏が唄う主題歌「ハガネのように花のように」も収録されています



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