第5の攻殻!!たぶんハードSFメタフィジカルギャグ!

公開日:2013/9/22

攻殻機動隊S.A.C. タチコマなヒビ(1)

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:山本マサユキ 価格:648円

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“スピンアウト”と申しましょうか。そう、本作は端的に言うと、スピンアウトであります。

コンテンツ戦国時代の今、連作や続編も去ることながら、スピンオフという言葉も随分ポピュラーになってきたなぁと思います。所謂、外伝の事でありますが、本筋が完結しますと、次はスピンオフで、ということは珍しいことではありません。

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さて、しかし、スピンアウトなのです。スピンオフという謙虚な言葉では、まるで足りないのが本作品。

世界に轟く日本のSFシリーズ“攻殻機動隊”。士郎正宗氏が紡ぎ始めたこの作品も、多数の派生作品を生み出しています。押井守監督による劇場版、神山健治監督によるTV版S.A.Cシリーズ、そして新たなシリーズARISE。本作はその中のS.A.Cシリーズで、おまけコーナーとして放送されていた“タチコマな日々”のコミカライズであります。

作中で活躍する、高度なAI戦車“タチコマ”達が、とりとめのない日常を過ごす様子は、本編のシリアスかつハードな内容とは対照的でゆる~い脱力系。本作も例に漏れずゆる~い進行の漫画なのですが…、いや、もう本当に色んな所がフリーダム。

まず、話題が普通に現代ッッ!
※第3話にして「年も明けて、いよいよ2010年ですなぁ」とか言ってます。
そして、正月休みで東北の温泉に入りに来ているッッ!!
※S.A.Cの世界では仙台と新潟は核攻撃でめちゃくちゃになっています。巨大なクレーターみたいになっているわけです。
オペレーターアンドロイドを9課メンバーが普通にオペ子呼ばわりッッ!!!
※確かに視聴者はオペ子と呼びます
9課のメンバー働かないし、バーベキューとかしてるッッ!!!!
※これもスタンド・アローン・コンプレックス…?

と、ざっと挙げるだけでもコレです。これをスピンアウトと言わずして何と言うのでしょう!

そもそものタチコマな日々自体が、本編のパロディ的な位置づけでしたが、本作はさらにその上、の上を行っています。もはや真剣に突っ込むのは野暮であり、パロディのパロディ、メタパロディを楽しむ構えで読むべき逸品。第5の攻殻は、ついにメタギャグの域へッ!!


超現代

少佐もオペ子と呼びます

スタンド・アローン・コンプレックス…

トグサはガラケーユーザーだった!

原作のあのシーン!

これが2030年代でも現役のSNSとゲーム機である
(C)櫻井圭記/山本マサユキ、講談社