犯罪歴のある11人の生活、気味悪く、でもやめられない。早く続きを…!

2013/9/28

羊の木 〈1〉

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:いがらしみきお 価格:540円

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なんとも気味の悪いものを読んでしまった、と今ちょっと後悔しています。とても文学チックなタイトルに惹かれ購入。あららららら。期待は見事に裏切られました。文学的とはほど遠いですが、どこか人間の深淵を掬い上げるような執拗な作品。

舞台はかつて海上交易で栄えた魚深市。人口13万人のこの村は、人口流出が進み過疎化の対策に、重罪を犯したが満期出所を許された11人を市に受け入れようと、市長島原が大決断をする。これといって産業のない市の過疎化の対策にもなるし、刑務者の社会復帰事業を手伝えば財政も潤うだろうという、もっともらしい理由で。元受刑者たちはそれぞれの存在を知らされず、市民たちにももちろん知らされない。秘密を知るのは市長とその友人2人、元受刑者を連れて来た法務省の役人のみ。

11人の犯罪歴は、逆恨み殺人から、詐欺、強姦魔から正当防衛が過ぎて恋人を撲殺した女、窃盗殺人犯、恐喝誘拐犯などなど。凶悪なプロフィールの人間ばかり。それぞれは、住まいを持ち、仕事を与えられ、過去を消して生活が始まるが、村の伝統の「のろろ祭り」に参加することで、お互いの交流が始まってしまう…というのが大筋。

絵がまた怖いんです。そしてシャバの生活に戻り、なんとか普通に暮らそうとしながらも、それぞれの性癖が隠せなくなってくるあたりもオソロシイ。目つきや、ちょっとしたアングル、ちょっとした会話にも読者はびくっと反応してしまう。相当に怖いです。

そしてやはり血が流されることになってくるのですが、その経緯もまた怖い。11人の相関図がどんどん複雑になってくるのも怖い。それぞれが暗い顔をしているのも怖い。火付け役の市長の娘が頭脳明晰で魅力的なのもこの人たちには危険すぎ。周りは元犯罪者ばかり。本当にやりきれない、でもドキドキしながらドンドン読んでしまう、そんな作品です。続きが早く読みたい。映画にできそうなストーリーが見事です。


平和な市に突然わいたこの話も最初は人間ドラマに見えるんです

羊のなる木も物語を象徴して

市の伝統「のろろ祭り」にk元受刑者たちが参加することに

それぞれ皆暗い過去をもって魚深市にやってきた