よしもとばなな最新作! どうしようもなく淋しい2人…淋しい町で、2人は

小説・エッセイ

2013/10/12

スナックちどり

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 文藝春秋
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:よしもとばなな 価格:1,028円

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弱ってるなぁ、ってとき、生きていればありますよね。どうしようもないし逃れられない、時間が解決するしかない…ってとき。これは、いとこ同士の弱ったおんな2人が、静かな旅の中で生きる希望を取り戻していく、そんなあたたかいストーリーに感じました。

40歳にならんとする頃、さっちゃんと呼ばれる主人公は離婚を決意します。その旦那さんというのが細かく描写されているのですが、…何というか、魅力的だけど魅力的じゃないというか…、一見凄くパーフェクトな人柄に見えるだけに、浮気はともかく大麻を売っていたり暴力振るったり、というのを忘れてしまいそうになるくらいキラキラした人で、ついさっちゃんの心中をお察ししてしまいます。人には良さも悪さ混在していて、なおかつその人が持っている本質的なものはどうやっても変えられないという淋しさを感じす。

一方いとこのちどりは、親代わりの祖父母を亡くして深い悲しみの中に。時間が経って多少元気を取り戻していたちどりは、苦しむさっちゃんを旅中でもさりげなく気遣います。ここのさりげなさが祖父母のスナックを手伝っていて培ったちどりの魅力。そして血の繋がりのあるものどうしの安心感で、見ているこっちまで感情がほどけていく感じがしました。

旅立った場所は賑やかな観光地ではなく、2人の気持ちに呼応するかのような淋しい雰囲気が漂う海辺の町。そんな町に魅入られたのか、2人の間に大きな出来事が…。

きっとこの旅は、大きな壁を乗り越えるためにどうしても必要な小さな踏み台みたいなもので、小さな変化でも、壁を越えるには必要なことだったように思います。最後の観光では、しみじみ泣ける出会いも!


イギリスのペンザンスという町。ここで数日を過ごす

さっちゃん旦那の魅力、ちどりには通じず。それどころか母親も祖母も旦那さんの扱いがひどくて笑ってしまう

精神的に強そうなちどりでも、避けられない悲しみがある

私も『スナックちどり』のほうがいいな~

今まで縁のなかったスナックですが、見方が大分変りました。おばあちゃんやちどりのやるスナックなら行ってみたい
(C)よしもとばなな/文藝春秋