構想・執筆に3年もかけた! 押切もえさん渾身のモデル界初長編小説

小説・エッセイ

公開日:2013/10/21

浅き夢見し

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 小学館
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:押切もえ 価格:1,037円

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私はモデルというと、「何考えてるかわかんない」という印象が強い。あまりにきれいでお人形さんみたいで、写真ではいつも輝く笑顔、本当に同じ人間なのかと不思議に思う。そんなキラキラモデル代表の押切もえさんが、なんとモデル界初の長編小説を書いた! 3年もかけて。その「熱意」と「モデル」は私にとってかけ離れたものだ。モデルの「人間」を垣間見た、渾身の1冊。

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あるひとりの女の子がモデルを夢見て努力する、という簡単に言ってしまえばそれだけの内容なのだけれど、その女の子の設定が結構ハードで面白い。21歳の時にマネージャーいわく「事故」でスカウトされて以来モデルを志すが、全くオーディションには受からず事務所ではほとんどゴミ扱い。高校生から続けているスーパーのアルバイトでなんとか生計を立てるが、ストレスでドカ食い、一般人よりもたぶん大柄。かといって頑張るわけでもなく、何がしたいんだか幼い憧れだけが独り歩きのあいたたたーな存在。そんな状態を4年もすごした25歳の時点で物語はスタートする。

25歳というと、まあかなり厳しい年齢である。それに加えとんでもなくおっきな逆境が主人公を襲いまくる。弱くて根性のない主人公が、逆境によって目覚めさせられ成長していく姿は爽快で、つい応援したくなってしまう。と同時に、主人公と自分がだんだんと重ねられる。辛さ、苦しさ、弱さ、そして喜び。そう、誰もが頑張って踏ん張って生きているのだ。ほとんどの人間が人間らしく泥臭く生きてる。モデルだってそう。

読後改めて著者名を見る。素直にすごいと思った。こんな純粋な物語を書けるのは、きっと美しく生きているからだ。モデルとして人間として誇り高い著者の魅力を、本書を通してぜひ感じ取っていただきたいと思う。


女の子ならこの気持ち、なんとなくわかるんじゃないかしら?

オーディションの描写は非常にリアルだった

メイクの田崎さんは頼れる存在!
(C)押切もえ/小学館