辞書は読んで遊ぶもの! 「右ってなに?」って聞かれたらあなたはどう説明する?

公開日:2013/10/27

学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川学芸出版
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:サンキュータツオ 価格:1,092円

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ふつう辞書は引くものだ。読もうという人はあまりいない。

小説と違って、ストーリーがないからだ。

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でも、読みようによっては、辞書にだって豊かなストーリーがある。というのがこの本の著者の主張だ。

僕はそれに賛成する。辞書のおもしろさは無類である。僕が所有している辞書にどんなのがあるかというと、『岩波国語辞典 第四版』、『新明解国語辞典』、『日本語逆引き辞典』(これは言葉の後ろから引ける辞書だ。たとえば、「溺れる」なら、「晴れる」「乗れる」といった具合に、意味に関係なく語尾の順番で言葉が並んでいくのだ)『類語新辞典』、『江戸語の辞典』、「雨の言葉辞典」、『ことわざ大辞典』、『慣用句辞典』、別に自慢するわけじゃないけれど、このくらいが手の届く範囲においてある。辞書や辞典は本当におもしろい。

でもって著者は、引くんじゃなくて読んでみたらそれがどんなに愉快か1冊まるごとをかけて熱を込め、読み手を誘うのである。

たとえば辞書好きには常識となっている、よい辞書かどうか判断する基準を最初にあげている。ごく当たり前の事柄をどう説明しているかを見てみるのだ。たとえば「右」。「右ってなに?」と聞かれたらあなたはどう説明するだろうか。『新明解辞典』ではこう書いてあるという。「アナログ時計の文字盤に向かったときに、1時から5時までの表示のあるがわ」。なかには、体を縦向きに半分に割って心臓のない方という、ちょっとゴシックな解説もあるのだとか。

冒頭にこれだけの「辞書をめぐる冒険」があらわれてワクワクさせるのだが、そこからが本番。読み比べをしながらそれぞれの辞書の性格分けを試み、渋谷系だの、野生派だの、経験がものをいう現場の刑事だの、ラベルを貼っていく。また、チャート図を見開きに描いて、あなたにぴったりの辞書を紹介するという離れ業にも挑んでいるのだ。

とにかく読もう。読めばもう1冊辞書がほしくなるのでスマホ代を節約しようではないか。