2人合わせて御年146歳の江戸っ子名コンビ! “しをんワールド”をご堪能あれ

小説・エッセイ

公開日:2013/10/31

政と源

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 集英社
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:三浦しをん 価格:1,132円

※最新の価格はストアでご確認ください。

ながーい男の友情って、いいですね。もうとっくにそんな歳は過ぎているのに、いつまでも青春な感じがありまあすねー。わたしのおじいちゃんも、昔の仲間たちとお酒を酌み交わしてるときは、なんだか少年のように目をキラキラさせていたような…。

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今回紹介させていただくのは、みなさんご存知三浦しをんさんの最新作「政と源」。主人公コンビ、なんと合わせて146歳のおじいさん、しかも生まれた時からの幼なじみときました。かれこれ73年の仲。元銀行員で堅実な暮らしを望む国政と、残り少ない髪の毛を気分によってカラフルに染めちゃう、破天荒なかんざし職人の源二郎。個性の異なったふたりの友情は、テレパシーにも似たぴったりの呼吸を見せます。

ただ、堅実な国政さんには色々と、思うところがあるらしいのです。分厚い恋愛結婚をして愛を貫き、早くに奥さんを亡くすも現在はかんざし職人として素直でかわいい弟子を手に入れた人に好かれる源二郎の一方で、自分は70になってから妻子に逃げられ、今はひとり孤独に暮らす始末…。作中、国政の切ない叫びが何度も何度も響きわたります。「どうして俺だけ孤独なのだー!」。

ただ、本当に孤独なのは源二郎の方かもしれません。幼いころに戦争で親兄弟をなくし、ずっとひとりでふんばって生きてきたのですから…。源二郎の弟子の徹平と、その彼女のマミちゃんの結婚話を通して、様々な形の友情、愛情、人情が揺れ動きます。胸にじんわりと染み入る、人間の温かさを感じられる1冊です。


思わず笑わされてしまいました

源二郎のキャラクターが抜群です

ふだん明るいからこそ、こういった闇が際立ちます
(C)三浦しをん/集英社