色男3兄弟が魅せるファンタジースタイリッシュ明治大活劇

公開日:2013/11/1

曇天に笑う 1巻

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : マッグガーデン
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:唐々煙 価格:432円

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少子化で3人兄弟が減っています。厚生労働省の国民生活基礎調査(平成22年)の結果では、「児童のいる世帯の平均児童数」が1975年の1.81人から2010年で1.70人。3人兄弟がいる世帯は1975年で7.3%だったのが、2010年では2.9%まで下がっています。3人兄弟に関わらず、子ども自体が貴重な日本ですが、まあ今回は3人兄弟。本作では、曇神社の色男3兄弟が、ちょっとファンタジーな明治時代を舞台に大活劇を繰り広げます。

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時は明治11年(1878年)、文明開化に廃刀令と日本あげての変革期。滋賀県の名物・琵琶湖のド真ん中には、巨木を中心に高い壁で囲まれた日本最大で最悪の監獄「獄門処」が。侍がいなくなり、新政府に不満を持つ者などによる過激な活動や犯罪が増える中で、政府が立てた案が、この「脱走不可能な湖の監獄」の設置でした。アメリカのアルカトラズ島刑務所を彷彿させるこの監獄に投獄される者は、当然、舟で送られるのですが、その橋渡しをするのが代々、曇神社の者…つまり本作の時代では曇3兄弟というわけです。

文明開化で欧米のきらびやかな衣装や和洋折衷の美しい建物が日本に新しい風を吹き込んだ時代。作者の圧倒的筆力で、時代の風とともにひとコマひとコマ描かれます。本格的な描き込みがなされる中、設定としてはちょっとファンタジーで奇想天外な脚色があり、不思議な読感が味わえます。

画力もさることながら、本作の魅力は、なんといっても曇3兄弟です。優男なのに圧倒的な武力を誇る天才肌の長男、それに直情で長男をひたむきに追いかける次男、ヤンチャで自由奔放な三男。両親を幼い頃に亡くした3兄弟は、それぞれが内に雲のような陰りを秘めながら、政府や警官からの依頼で世を乱す罪人を追い、捕まえて、獄門処に送り届けます。兄弟ゆえに、干渉し合い、葛藤し、成長していく男のさまがカッコイイ。

曇神社が祀る大蛇、そして、この地で300年に一度空が曇るとともに引き起こされる大きな災い…。強烈な引きに、ページをめくる手が止まりません。

笑わせ、痺れさせ、たまにホロリとさせる本作は、テレビアニメ化が決定。詳細は追って、下記サイトで告知されるとのこと。

曇天に笑う(マッグガーデン)詳細ページ


罪人にとって最悪の刑務所「獄門処」。要塞すぎる!

和風、洋風が入り交じる舞台を描ききる筆力に酔える

長男に打ち負かされ続ける次男

こちらも長男に憧れる、三男

スタイリッシュなバトルシーンに汗を握る
(C)唐々煙/マッグガーデン