ジブリ音楽の仕掛け人・久石譲の音楽ジャンルにとどまらない、熱い仕事論

公開日:2013/11/9

感動をつくれますか?

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:久石譲 価格:777円

※最新の価格はストアでご確認ください。

プロのためのプロ本とでもいうべきでしょうか。最初の1ページから久石氏の真剣さとプロフェッショナル度の高さをがんがんとぶつけられる感じ。映画音楽の世界というのがどれほど緻密で、どれほど大変な世界かというのもよくわかるし、これほどの精度と集中力で仕事をするからこそ、第一線をゆく人物なのだということも納得。自分の仕事をこれほど客観的に分析できて、説明できるアーティストというのもなかなか存在しないのではないでしょうか。そこには久石氏が芸術家という面と仕事をきちんと修める職業人、職人としてのプロの意識も強烈に伝わってきます。

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「ものをつくることを職業にしていくには、1つや2つのいいものができるだけではダメだ。一生に1作であれば、誰でもいい曲が作れる」「心のペースづくりは生活を整えることから」「論理や理性がなければ人に受け入れてもらえるようなものはつくれない」などなど。すべてのページが格言に満ちているといっても過言ではありません。

宮崎駿監督との名コンビも、実は緊張の連続なのだという状況や、ちょっとしたアイディアから大きな作品ができて行く過程を説明してあるくだりなど、同じ世界を生きる方には本当に参考になるのでは。

そして違う業界でも、「仕事をするとはこういうこと」というセオリーを改めて認識させられるよいきっかけになるかもしれません。月曜から土曜までびっしり働くという久石氏。日本人は働かなくなったという厳しい意見をお持ちです。なので、こちらも気合いを入れて読まなければ、「私ってダメだわー」的な気持ちになってしまうかもしれないぐらい、熱い。新しい仕事に取りかかる前、アイディアが湧きそうでどきどきしている瞬間、そんなときにがーっと一気に読んでパワーを頂くのが最も効果があるかも。映画音楽を目指す若い人に必須の1冊。


基本の基を説いていますが、のっけから背筋が伸びます

仕事における「点と線」も興味深く

音楽家の強烈にストイックな面を垣間みます