浅草を舞台にした和菓子と人情の物語

パティシエを目指し就職活動中だった安藤奈津は、人手不足の老舗和菓子屋“満月堂”の人々に偶然出会い、急遽そこでアルバイトをすることに。人手が見つかるまでの期間限定ということだったが、奈津は次第に和菓子の魅力にとりつかれ、そして満月堂で働くことを決意する。浅草を舞台にした和菓子と人情の物語。

このマンガに登場する和菓子の美味しそうなこと。ついついお饅頭を買いにコンビニに走りたくなります。ついでに日本茶もいれたくなります。コンビニにも売っている身近な和菓子ですが、ちゃんとした和菓子についてはあまりよく知らないかも。どれくらい種類があってどうやって作られているのかも不明です。

そんな、奥の深い和菓子の世界に突如飛び込んだ安藤奈津ことなっちゃんですが、彼女がちょっとびっくりするくらいにいい子。何事にも真面目で真剣で、周りの人たちを自然と笑顔にしてくれるなっちゃん。そんななっちゃんには、ちょっと気取った洋菓子よりも、温かみのある和菓子の方がぴったりな気がします。まぁなっちゃんは、ケーキが作りたくなって泣いちゃったりするんですけど…（なんかかわいそうだ！）。

和菓子も魅力的だけど、このなっちゃんの働くことになった和菓子屋“満月堂”が東京の“浅草”にあるというのもまたこの漫画のポイントです。東京の下町、浅草という舞台が、和菓子となっちゃんの人柄に見事にマッチしていて、この作品をより魅力的なものにしていると思います。浅草の人々となっちゃんの和菓子を通した人情物語、読みながらついつい笑顔になってしまいます。
余談ですが、マンガや小説って町がきちんと設定されて、それがより細かく書かれている作品の方がおもしろいですよね。

残念なことにに、原作者の方が急逝された為、この作品は未完で終わっています。書籍の方も、絶版になってしまうらしいので、読みたい方はぜひ電子書籍で読んでください。ほっこり温かい気持ちになりたい方、このマンガを読んで、そして日本茶を入れて美味しい和菓子を食べて優しい気持ちになりましょう。