透明萌え! 全く姿の見えないカノジョと過ごす、ウルトラクリア・ラブコメディ!?

更新日:2013/12/17

のぼさんとカノジョ? (1)

ハード : PC 発売元 : ノース・スターズ・ピクチャーズ
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:モリコロス 価格:540円

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小説とマンガ。両者は永遠のライバルです。ビジュアルによる作品である漫画。イメージによる作品である小説。前者はある種テレビ的で、視覚情報が豊富。だれでも特に苦労なく、ビジュアルに縛られがちですが、観たものを受け取ればそこそこ入って行けます。しかし、後者はそうはいきません。文字通りに受け取るだけでは圧倒的に不足です。外見、風景、動く様子、色々なことをイメージで補って行かなければ全然楽しくありません。(それが最大の楽しみともいえますが…)

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落語なども同様で、ある種のトレーニングを経て初めて面白くなると言えますが、それ故に活字離れという問題が起きています。一長一短。どっちもどっち。永遠のライバルの戦いはついに決着がつかないまま、今に至っているのかもしれません。

しかし―――、ついにその戦いに光明が!!

両者を華麗にぶった斬るのが本作なのです。のぼさんとカノジョは同棲しています。カノジョは家事に精を出し、毎日手料理。実に円満なカップル生活を送っていますが、ひとつだけ普通ではないところがありました。…カノジョは、幽霊なのです。姿も見えず、声も出せません。名前も素性も分かりません。唯一のコミュニケーションはホワイトボードを介したやりとり。見えないカノジョとの不思議な毎日が綴られます。

というわけで、文字通りカノジョは一切透明です。全く描かれていないのですが、本作はそこが絶妙。絵によって描くことを潔く放棄したことで、面白いことに表情や雰囲気も、くっきりと見えるんですね。妙な話ですが、マンガにおいて、描かないことで描いているというわけです。

マンガ的であり、実に文学的な本作は、“逆にビジュアルに縛られる”というマンガ最大の弱点を両断!! 絵に縛られず、読み手の数だけカノジョは存在するので、楽しみ方はほぼ無限。ヤキモチを妬くカノジョ、微笑むカノジョ、家事をするカノジョ、あれこれ想像する内に、気がつけば愛しさを覚えているのであります。

恋人が幽霊、といえば『ゴースト/ニューヨークの幻』を思い出しますが、そもそもが恋人の幽霊ではなく、素性も姿も、極端に言うと性別も何も分からない幽霊が恋人というのが本作の面白いところ。ついついそういう野暮なことが気になってしまいますが、カノジョの見えない姿をみていると、本当の幸せにとってそれは些細なことのように感じます。

透明萌え、とでも言うべきこの感覚は、正に新感覚。超透明。“ウルトラクリア”な文学的漫画体験をぜひご賞味アレ!


ワケあり物件に入居してみると…

激しい霊現象!!

しかし、のぼ君は向き合うことにします

物語の核となるホワイトボード!

そして、奇妙な生活が始まるのでした

なんだかカワイイぞ!

気がつけばあなたも透明萌え!
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