湯ったり恋愛。湯っくり成長の温泉マンガ

公開日:2013/12/21

ゆるりずむ

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:コミック 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:武田みか 価格:463円

※最新の価格はストアでご確認ください。

温泉を題材にした、ほんわかラブコメファンタジーです。ほんわかですから、そんなに現実離れはしていません。温泉妖精とでもいうのか、『温泉界』からやってきた『花響の乙女(はなゆらのおとめ)』のまひるちゃん。それに、ヒロイン藤代さんの実家である温泉宿にはユズちゃんがいるんです。

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でもこの2人が麻宮騎亜の『コンパイラ』なみに奇跡を起こして毎度、騒ぎになるかというと、そんなことはない。ほんわかですから。ちなみに彼女たちの姿は、温泉をこよなく愛していないと見えない設定。当然、主人公の響(ひびき)くんにはみえますし、寂れてきている湯流々旅館(ゆるるりょかん)の若女将であることを隠し、自分の家について複雑な気持ちを抱えている藤代さんにもみえます。

ここで勘のいい方は、「ああ、響くんが妖精やら若女将にモテモテでハーレムなのね」と予測変換のように物語を推測するでしょう。まぁ、おおむね合っています。けれどそれだけでは終わらないのが、このお話のいいところ。「温泉なんて、入浴シーンを出すための設定だろ?」と思わせておいて、実はもっと作品の深いところで温泉がテーマになっているのですよ。

ヒロインの藤代さんはクラス委員長。とてもまじめで、いつも怒っていると言われることも…。でもそれは不器用な性格だから、そんな風にみられてしまっている。主人公の響くんは、藤代さんとは対照的にとてもストレート。温泉Love! な好青年と思いきや、飾らなすぎてやっぱり不器用な一面も。

物語の主軸はそんな2人のラブコメなのですが、この作品の素晴らしいところは、温泉(あるいは温泉妖精)がきっかけで2人が出会ったり気持ちが通じたりするだけではなく、藤代さんも響くんも、それぞれが不器用な性格と向き合い、成長する様子がちゃんと描かれているんです。寒い冬にぴったりの、暖かい気持ちになれるオススメの1冊です。


この扉絵だもの。そういうマンガだって、思っちゃうよね…

この扉絵だもの。そういうマンガだって、思っちゃうよね…

温泉界からの来客も、温泉を愛している響くんにはみえるんです

藤代さん、響くんに若女将であることがばれてドキドキです