発達障害に対する大人の無知のために子供が不幸になることを防ぎたい

小説・エッセイ

公開日:2011/10/11

発達障害の子どもたち

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:杉山登志郎 価格:648円

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ひと昔前に比べて、発達障害や学習障害、自閉症、ADHDなどの言葉がよく聞かれるようになった。日本では2005年に「発達障害者支援法」ができたこともあり、少しずつ発達障害を持つ人たちを取り巻く環境に注意が向けられてきているのだろうと思う。

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発達障害や学習障害の定義については、ぜひ本書を読んでいただきたいが、学習障害に関しては、俳優のトム・クルーズがこの障害を持つことでよく知られるようになった。彼は学習障害の中の難読症といわれる障害を持つため、子供の頃から読むのに苦労し、俳優になってからは台詞を覚えるのに苦労しているという。

最近、アメリカの学習障害者のための教育体制について少し調べたところ、発達障害の中の学習障害に限れば、アメリカでは人口の15%、つまり7人にひとりが学習障害だそうだ。日本でもそれに近い数の学習障害をもつ人がいると考えられるが、一般的にはそれほど多くの人が学習障害を持つとは考えられていないだろう。そこに大きな問題がありそうだ。

学習障害を含む発達障害は、専門的な訓練を受けた教師が、それぞれの障害の内容や程度に合わせて指導しなければ教育効果が上がらないのに、日本ではその環境整備が立ちおくれている。本書でも触れているが、発達障害のある子供は通常学級で教育を受けさせても効果が上がらないばかりでなく、発達障害が原因でひどいいじめの対象にされることも多いのである。また、一般的に、教師でさえも発達障害の知識を十分に持っていないという状況も無視できない。適切な教育を受けさせることができなければ、社会に適応していける可能性があっても、その可能性をつぶしてしまいかねない。

ます、発達障害をもつ子どもがいるということを知り、発達障害とは何かを知ることが必要だと痛感した。そういう意味で、特に子供の教育に責任のある保護者や教師に入門書として読んでほしい。

ちなみにアメリカでは、この部分に関しての環境整備はかなり充実していて、子供に発達障害の疑いが出たら、それを専門家がテストし、その結果に基づいて教師や親、専門家が話し合ってその子供の症状に合わせた個別の教育カリキュラムを作成し、それに沿った教育ができるように法律で定められている。


まず、発達障害とは何かを知ろう

あなたは発達障害について、どれほど理解しているだろうか

特殊学級か通常学級か、大人達が選択を誤ると、子供は適切な教育を受ける機会を逃してしまう