メフィスト賞が生まれたキッカケのひとつ、あの傑作がコミカライズで登場!

2014/1/10

姑獲鳥の夏(1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:京極夏彦 価格:609円

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書店で初めて手にとった時には「何これすごい、鈍器だよ鈍器!」と思わずはしゃいだ作品でした『姑獲鳥(うぶめ)の夏』。京極夏彦先生がこれを持ち込みしたことでメフィスト賞ができるきっかけとなった、デビュー作にして傑作です。

二段にみっちり詰め込まれた文字量と、妖怪だけにとどまらない多方向への薀蓄。活字中毒者なら一度読めばぐいぐい引き込まれること間違いなし! …の傑作なのですが、本は好きだけど活字中毒というほどではない、というくらいの人だとイマイチ手が出しづらい分厚さでもありました。そんな、「興味はあるけど…」という方にオススメしたいのが本作、『姑獲鳥の夏』のコミカライズ作品です。

作品舞台は第二次世界大戦後の東京。中野で古本屋「京極堂」を営む中禅寺秋彦(ちゅうぜんじあきひこ)は家業が宮司、副業が憑物(つきもの)落としを行う拝み屋、という3つの顔を持つ男。「この世には不思議なことなど何もない」が座右の銘の、本作品におけるホームズです。

そしてワトソン博士に当たるの関口巽(せきぐち たつみ)は、中禅寺の中学時代からの友人であり、売れない小説家。彼は食い扶持を稼ぐためにカストリ雑誌(エロ・グロ色が強い傾向の雑誌)に投稿もしているのですが、そのために何気なく拾ったネタが今回の事件の幕開けとなりました。

関口が中禅寺にもってきたのは「二十箇月もの間身篭っている妊婦」の噂。博学な中禅寺に意見を聞きたかったのですが、中禅寺はけんもほろろな対応でした。しかし詳しい話をするうちに、その妊婦の夫が密室から消えるように失踪しており、その失踪者が2人の中学時代の先輩であるということが発覚。知り合いが事件の中心人物では知らぬふりは決め込めない、と判断した中禅寺は関口にある友人の探偵社に行くように言い含めます。後日関口が探偵社に向かうと、そこには噂の妊婦の姉が失踪者を探して欲しいと依頼に来て…と、話はどんどん転がって行きます。

作画の志水アキ先生のシリーズ愛と技量が唸る適切な簡略化、描写、漫画だからこその表現技法! 小説が未読ならばシリーズのとっかかりとして。小説読破済ならばさらなる作品世界の広がりのきっかけとして。どちらでも美味しくいただける、素晴らしいコミカライズでした。


「二十箇月もの間子供を身籠っていることが出来ると思うかい?」ここから事件は始まった! というシーンであり、ページの締めに入るどどんという太鼓のコマが個人的にすごく好きです(笑)

「随分と不思議なことだとは思わんかね?」「この世には不思議なことなど何もないのだよ関口君」はい、いただきました座右の銘! 原作ファンならついにやりとしてしまうかも

幽霊の正体や脳の認識に関するうんちく、はたまた物理法則の話にとんだかと思えばふとした拍子に話が戻ります。歴史書にある10月10日をこえて胎内にいる胎児の例は何を示すのか…