「そうか、これがニュータイプだったのか!」

ライトノベル

2014/1/21

機動戦士ガンダム I

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
ジャンル:ライトノベル 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:富野由悠季 価格:630円

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ガンダムが名作であることは、いまさら説明するまでもありません。あの圧倒的迫力の世界観。ひとクセもふたクセもあり魅力的な登場人物たち。そして、ニュータイプという斬新で革命的な概念。テレビアニメや劇場版は何度も観ました。だから、それなりにイメージは持っていましたが、「ガンダムって具体的にどういう世界?」「モビルスーツって?」「結局、ニュータイプって?」と突っ込んで聞かれると、「こんな感じだよ」「とりあえず映像を観て」とあいまいに返すこともありました。

そこで、本作です。かねてから読んでみたかった小説版の“もうひとつの似て非なるガンダム”。ついに電子版が登場しました。

話には聞いていましたが、アニメとはやや異なります。まずは設定。アムロが職業軍人です。階級は曹長。冒頭ではパイロット候補生として、コア・ファイターの発着訓練を受けています。リュウ、カイ、ハヤト、そしてテレビアニメでは登場しないシアンも同じ階級の同僚です。当然、民間人であったアニメ版より、アムロがたくましく見えます。というのも、本小説版はテレビアニメ版に比べてややオトナ向けに書かれています。本作の執筆者でもあり、テレビアニメ版で総監督を務めた富野喜幸(現・富野由悠季)氏の趣旨がより濃く反映されているとされます。

これは、世界観でも同様です。主要な登場人物が次々に死んでいくのがガンダムの世界では周知されたことではありますが、本作では、その死に方がいっそうシビア。ときには、あっけなさすぎて虚しさすら感じさせることも。戦争での死とは、“何かをやり遂げて散る”以外に“ただ、帰ってこない”ことでもあるのだ、という当然のことをまざまざと見せつけられます。

そして、ニュータイプについて。テレビアニメ版では抽象的な描写や効果音で巧みに表現されていましたが、本作では文章により、論理的に“ニュータイプが何であるか”が説明されています。どのようにして認識が広がるのか。その感覚とは。これは、ガンダムファンなら、ゼヒ押さえておきたいところでしょう。

さて、1巻ではララァの退場までが描かれます。第一級のSF小説でありながら、テレビアニメ版より繊細に描かれたアムロ、シャア、ララァほかの心理描写が、本作を哲学書の域にまで押し上げている、といっても過言ではないでしょう。

映像で知る人は本書でより深くガンダムを。ガンダムを知らない人は本書から知るのもよろしいかと思います。


巻頭に人物表や設定表などがある。まずはここで頭を整理しておきたい

シンプルなんだけど、ザクは原点。やっぱりいい。とにかくいい

「アムロ・レイ曹長」という、テレビアニメ版では馴染みがない表現。“似て非なるガンダム”の一端

ニュータイプとしてララァを感じるとは? 「…彼女が放射している思惟というか、彼女が強迫的にアムロに対して思わせている認識力が…」

ニュータイプではない人間では完全には理解できない、アムロ、シャア、ララァをつなぐ感覚とは。心情とは? 文章で論理的に描かれている